朝ドラを振り返ると反省のほうが多い
「今はどうなのか分からないですけど、当時は、オーディションで合格したヒロインの場合、控室や楽屋がなかったので、ほとんどスタジオの前の「前室」という部屋にいたんです。そのおかげで、スタッフさんの仕事の種類とかお名前とか、仕組みとかを理解することが出来ました。もしかしたらオーディションで受かる人は新人に近いから、そういった勉強が自然に出来るよう、楽屋を作らない伝統があったのかもしれないですね。クリスマスとか七夕とか、季節の飾りつけもしていました」
誰もが憧れる朝ドラ(連続テレビ小説)のヒロインに楽屋がなかったとは驚きだが、そのおかげでドラマに携わる様々な仕事を知ることができたという。
「振り返ると反省のほうが多いです。もっと自分に力があれば、と毎日思ってましたし、今も思っています。私がヒロインじゃなかったら『まれ』はもっと話題になったかもしれないし、能登に対しても、もっと具体的なことがすぐに出来たかもしれない。(山﨑)賢人くんとか、(葉山)奨之くんとか、柳楽(優弥)さんとか、大泉洋さんとか、田中裕子さんとか、常盤貴子さんとか、漆の指導をしてくださった大崎さんとか、そういった心ある方々が現場をあたためてくれていたと思いますし、何より、能登と横浜の方々があたたかく見守って下さったことが、最大の心の支えになりました」

反省することの方が多いと語る土屋さん。実はこの時40センチも髪を切ったという。
「私の髪はふにゃふにゃしていて、くせっ毛なので、短くするとまとまらなくなって清潔に見えにくくなるんです。それを知っていたので乗り気ではなかったのですが、どうしても切らなければいけなくて。『まれ』の放送中に“髪の毛が不潔に見える”というご意見をいただいたそうなんですけど、その話を聞くたびに、これは今でも“切る必要はなかったなぁ”と思っているんです」