イチローさんのアメリカでの活躍に刺激を受けました
「だから、試合前にお会いしたとたん、嬉しくて号泣しちゃったんです。イチローさんは“オレがイジメたみたいじゃん”と、苦笑いしていました。そんな状態ですから、何を話したかはまるで覚えていません」
――プレーヤーとして、イチローさんから影響は受けましたか。
「イチローさんがマリナーズに入ったのは、私が中学のとき。野球部で男子と一緒にやっていると、体力の差がはっきり出てくる時期なんです。小学校時代はホームランの数も私が一番だったのに、中学になると、どんどん同級生の男子に抜かれていく。
私はパワーがないから飛距離が出ない。そんなとき、イチローさんのアメリカでの活躍に刺激を受けました」
――イチローさんと自分を重ね合わせたわけですね。
「イチローさんはアメリカのパワーヒッターに交じって、ホームランではなく、ヒットや打率、さらに守備でもきめ細かいプレーで勝負されていたのかな。いつでもホームランを打てる方なのに。私が生き残る道も、そこだと思いました。
例えば、監督の出したサインを必ず決める。そうやってチームに不可欠な選手になろうと。その意味でもイチローさんは私のお手本。いや、私にとっての永遠のスーパーヒーローですね」
(つづく)
片岡安祐美(かたおか・あゆみ)
1986年11月14日、熊本県生まれ。小学校の頃、テレビで見た高校野球に感動して野球を始め、2002年熊本商業高校野球部に入部。第2回女子野球世界選手権で準優勝、第3、4回に2連覇を成しとげる。05年、茨城ゴールデンゴールズに入団。07、08年に全日本クラブ選手権大会優勝、第3回ENEOS女子野球ワールドカップ優勝。11年より同チームの選手兼監督に就任。