“裸一貫で勝負できる”という世界は、魅力的に映った

 力士時代の土俵上の厳しい表情とは異なる、コミカルな「コニちゃん」は、子どもたちの心をつかんだ。

 小錦さんと大相撲との出会いは、82年5月末のこと。イベントのため、ハワイに来ていた高見山(のち、東関親方)から、スカウトを受けたことがキッカケだった。

「ハワイ出身の高見山関は、とても有名な方でした。高見山関がおっしゃるんです。“日本の相撲界は厳しいところだ。いいことばかりじゃないけれど、君の強靭な足腰は相撲に向いているはずだ”。子どもの頃からスポーツが好きで、アメフトやパワーリフティングをしていたんだけど、“裸一貫で勝負できる”という世界は、魅力的に映ったんです」

 その出会いから1か月後、小錦さんは日本に渡った。高見山がいる高砂部屋に入門して、部屋での団体生活が始まったのだが、まったく日本語がわからない。そのため、外出せずに、部屋の中で相撲のしきたりや日本語を覚えることに専念した。