ハワイから来日して、わずか8場所で十両に昇進。現役時代は、184センチ、275キロの巨体を生かして、大関を39場所を務めた、小錦さん。引退後は、タレントに転身して、テレビ、相撲ショーのプロデュースなど、幅広い活躍を見せている。一昨年12月、還暦を迎えた小錦さんの「THE CHANGE」とはーー。【第1回/全5回】
ハワイから来日して、1年半。
1983年九州場所で新十両昇進を決めた、小錦の快進撃は続いた。
翌84年春場所は13勝2敗で、十両優勝。続く夏場所も、11勝4敗で連続優勝を果たして、7月の名古屋場所では、待望の幕内力士となった。
新入幕のこの場所、8勝7敗と勝ち越して、9月の秋場所は、前頭6枚目に番付を上げた小錦。54年秋場所から、「大相撲の殿堂」として親しまれていた蔵前国技館が、秋場所を持って閉鎖され、85年初場所から両国に場所を移して、新国技館で大相撲が開催されることになっていた。
「蔵前国技館は、僕の『青春の場所』。新弟子時代に教習所で授業を受けたり、ランニングをしたり…。建物は古くて狭くて(笑)、まさに『昭和』という感じだったけど、好きだったなぁ。食堂もね、お相撲さんもお客さんも一緒になって食べることができるから、隣の席の人にラーメンをごちそうになったり…」
小錦さんは、当時を懐かしそうに振り返る。