「ここで “イエス”と言わないと、一生、書かないなと思って」
一方、変わったことは、「小説を書くようになった」ことだと語る。
「父親も兄も本が好きだったので、子供の頃から本に囲まれた、生活でした。僕も高校時代に、よく文庫本を持って学校に行っていた記憶があります。
実を言うと、ミュージシャンも好きでしたけど、高校時代から作家にはすごく憧れを持っていたんですよね。ただ、自分では絶対になれないものだと思っていました。
それが還暦を過ぎて、作家デビューしたものですからね。自分の中で、そのチェンジは非常に大きかったですね。
最初は、あるとき、編集者の方に“書きませんか?”って言われて。“えっ……”と思って、躊躇したけど、僕に書けますか?と聞いたら、“はい、書けます”と、簡単に言われちゃって。“え、そうなんだ!?”みたいな(笑)。
以前、書いたエッセイを読んで、編集者が判断されたと思うんですけど。ただ、ここで “イエス”と言わないと、一生、書かないなと思って。 その一言に背中を押されましたね」