「ほかの役者さんたちを見て、すげぇなって」自分の実力のなさに落ち込んで自主稽古をやりまくった過去も
「役者としては、演出者の求めに即時に対応しなきゃならないから、自我を出している場合じゃないんです。若いときは、台本を読んで悲惨なことが描かれていたら自分なりに悲しい芝居を作りこんで、それをかたくなに守って演じようとしました。
けど、それを見た演出家から、“それもいいけど、いっさい泣かないで、明るくやってみて”と。すると、プランが崩れて全然対応できないんです。自分の芝居が止まっちゃうと、他の役者さんにも迷惑がかかっちゃう。すぐに対応できるほかの役者さんたちを見て、すげぇなって、自分の実力のなさに落ち込んで自主稽古をやりまくったりしましたね」
「稽古場は打ちのめされる場所。それはいまも同じ」と、ポツリと岡本さんはつぶやいた。
「演じる役がたとえ再演であっても、前回とは時代の空気や感覚も違ってくる。そもそも演じる役の時代も国も名前も全然違うから、俺自身じゃないわけです。そうなると自我とか羞恥心とかを取っ払わないと対応できないんです」