「誰もがスクルージ的な面があると思う」

“誰もが自分の中にスクルージを持っている”と話す吉田さん。スクルージとは正反対にも思える吉田さんの中にもスクルージがいるのだろうか。‎‎

「間違いなく、どこかにはいますよ(笑)。人間という生き物は絶対にそういう面があると思うんです。むしろ自分の行いがクリアでクリーンだと言い切る人は怪しい。人生の途中で過去には戻りたくないというトラウマ的な思いを持つ人もいると思いますし、やっぱり誰もがスクルージ的な面があると思うし、だからこそこの作品が長く愛されているんだと思いますね」

『クリスマス・キャロル』では、壮大で、この季節にぴったりな楽曲が次々に披露される。長く歌手活動もしている吉田さんだが、ミュージカルの歌と普段の歌では違いや難しさも感じているのではないだろうか。‎‎

「ミュージカルのナンバーは自分が普段やっているポップスとは違って難しいです。ただ、ミュージカルの舞台で音楽と向き合った経験は、自分のステージに戻ったときに血となり肉になっているんですよね。同じ歌を歌っていても、こういう作品と関わる前と後では違いを実感できるんです。

 最初の頃は、ミュージカル楽曲に慣れていないので、なんでここからここへ音符が飛ぶんだろうと、不思議だったし、“こんなの歌ったことない”と思っていました。でも歌えば歌うほどすべてが計算されてできているとわかる。楽曲たちの見事さに触れると、これは自分の中に落とし込むために、しっかりとやるべきだなと思いましたね」

吉田栄作 撮影/有坂政晴