エンディング曲は僕が作った歌じゃないような感覚

ーー本作のタイトルにもなったエンディング曲『みらいのうた』が流れた瞬間、最後のピースがハマったような感覚が観客であるこちらにも伝わりました。2021年リリースの『みらいのうた』は、お父さまのことを思って作詞したんですよね。

「亡くなって50年経ったので、“いままでありがとう”というようなアニバーサリーな気持ちというか、"僕はひとりでがんばって生きていきます”という気持ちで作ったんですけど、リリースしたあとに病気になったので、“ひとりで頑張る=いままでの天罰”みたいなことかなとも思ったり。やっぱり、好き勝手生きてきましたから。ロックやってタバコ吸って、酒も飲んで。でも最後にこんなに……僕が作った歌じゃないような感覚になるような体験をするなんて。これがエンディングで流れたとき、EROさんの歌にもなったと思うんですよね」

 吉井さんの密着ドキュメンタリーだったはずが、EROさん、そしてすべての観る人へ「あたなにとってのみらいのうたってどういうものですか? という問いかけにもなった」という同作の不思議なめぐりあわせ、ぜひ体感してほしい。

写真:横山マサト
ヘアメイク:Cana Imai
スタイリスト:Shohei Kashima(W)

(つづく)

吉井和哉(よしい・かずや)
1966年10月8日、東京生まれ。1971年、5歳のとき事故で父が死去。小学校入学後に母の郷里である静岡に引っ越す。10代でベーシストとして加入したURGH POLICE解散後の1988年、22歳の頃にTHE YELLOW MONKEYを始動。翌1989年から現メンバーのラインナップとなり活動が本格化すると同時にボーカリストへ転向する。1992年のメジャーデビューを経て、1995年にリリースした5thアルバム『FOUR SEASONS』が初のオリコンチャート1位を獲得、ブレイクを果たす。2001年に活動休止(2004年に解散)。2003年よりYOSHII LOVINSON名義でソロ活動を開始し、2006年からは吉井和哉名義に移行。2016年1月8日、THE YELLOW MONKEY再集結の発表。2020年4月に予定されていた東京ドーム2daysが新型コロナウイルスの蔓延のため中止に。翌年のソロツアー中に喉の不具合によりツアーを中断、後に喉頭がんと診断される。治療を経て復活のステージの場に選ばれたのは2024年4月の東京ドーム公演となった。その後10thアルバム『Sparkle X』の発表とそれに伴うツアーも成功させた。現在もソロ、バンド両方での精力的な活動を展開している。

【作品概要】
映画『みらいのうた』
全国公開中
監督:エリザベス宮地
出演:吉井和哉
©︎2025「みらいのうた」製作委員会
配給:murmur 配給協力:ティ・ジョイ
映画公式HP:mirainouta-film.jp
SNSアカウント XInstagram:@MIRAINOUTA_film