現在、全国公開中のドキュメンタリー映画『みらいのうた』は、2022年春から3年以上にわたり、THE YELLOW MONKEYのボーカルでありソロミュージシャンとしても活躍中の吉井和哉さんを密着した作品だ。当初はこうした作品になる予定もなければ、もちろん劇的な出来事が起こるなどとはかかわった全員も吉井さん本人ですらも、わかるはずもなかった。撮影中にがんを患い、それでも東京ドームでのTHE YELLOW MONKEYのライブを成功に導いた吉井和哉さんの、THE CHANGEとは。【第1回/全5回】

吉井和哉 撮影/横山マサト ヘアメイク/Cana Imai スタイリスト/Shohei Kashima(W)

 取材前、PR担当の男性スタッフが「本当にかっこいんですよ。それにすごく気さくに話してくださる方で、ますます好きになってしまいました」とこっそり耳打ちする。男性スタッフが顔をほころばせて話すのは、現在公開中のドキュメンタリー映画『みらいのうた』の取材のため数分後に現れる予定の、THE YELLOW MONKEYのボーカルでありソロミュージシャンとしても活躍中の吉井和哉さんのことだ。
 そして彼の言うとおり、約束の時間に現れた吉井さんは、目の前に座った瞬間からやわらかな空気で取材スタッフの映画の感想に耳を傾けてくれるのだった。

 そんな吉井さんの飾らない姿は、『みらいのうた』でも存分に映し出されている。 同作の監督は、昨年公開された、東出昌大さんに密着したドキュメンタリー映画『WILL』で話題となったエリザベス宮地さん。宮地さんは2022年春から3年以上にわたり、吉井さんに密着。当初、吉井さんも監督も「映画になるとはまったく思っていなかった」そうで、声帯ポリープの治療でライブ活動ができなくなっていた時期のため、ソロアルバムの特典映像にしようかーーなど、着地点を明確にしないままカメラを回し始めたという。