「我々の時代は巨人包囲網とかやられたけれど、阪神包囲網をやったほうがいい」
──育成優先のあまり負けがこむと、ファンのフラストレーションが溜まらないでしょうか。
「ちゃんと伝えれば、ファンもついてきてくれると思うんだよ。勝てないと文句を言いたくなるのはファンの性だけど、でも、育てなきゃいけないときはある程度、目をつぶって応援してもらえる。ファンはそういうものだよ。そのためにも、(阿部)慎之助は、“今年はチームを作る年にします”って、アドバルーンを掲げたほうがいいんじゃないかな」
──やはり来シーズンのセ・リーグは、阪神を中心に動きそうですか?
「阪神のペースを乱すチームが出てくるのかどうかっていう話だよね。間違いなく阪神が頭でシーズンが進むだろうから、その足元をすくえるチームがどれぐらい出てくるか。我々の時代は巨人包囲網とかやられたけれど、阪神包囲網をやったほうがいい。阪神戦には必ずエースをぶつけるとかね。そのぐらいの抵抗をしてほしい。
今はクライマックスシリーズがあるから、シーズンは3位までに入れればいいっていう考えもあるけど、それじゃつまらないんだよ。トップにいるチームに対して対抗心を燃やして、“自分たちが優勝するんだ!”っていう、最後まで意地を貫いた戦い方をしてもらいたいな。シーズン半ばまで来て、優勝が無理だってAクラス狙いになると、見ていてすぐわかるから。応援してくれるファンに対して、そういう姿を見せちゃいけないよね」
ときに厳しく、ときに愛をもって巨人と阪神について語ってくれた中畑さん。それぞれの補強、編成はどうなるのか? ストーブリーグの動きに注目したい。
つづく
なかはた・きよし
1954年1月6日、福島県生まれ。駒澤大学を経て、75年に読売ジャイアンツに入団。79年に一軍に定着し、「絶好調男」としてファンから人気を博す。84年のオールスターゲームでは二打席連続のホームランを打ち、一塁手として7年連続のゴールデングラブ賞に輝くなど、中心選手として活躍する。89年に現役を引退。野球解説者として、歯に衣着せぬ語り口で人気となる一方、読売ジャイアンツのコーチ、横浜DeNAベイスターズの初代監督など、指導者としても日本球界に貢献してきた。