長く愛される名作ミュージカル『クリスマス・キャロル』がこの冬再演される。主人公・スクルージを演じる吉田栄作さんが思う本作の魅力と見どころ。そして、16歳の時にこの世界を志してから定期的におとずれる「CHANGE」について。さらに、時を経て今思う『心の旅』への思い、そして、いつまでも燃え続ける炎の意味とは――。【第2回/全3回】

吉田栄作 撮影/有坂政晴

 19歳のときに俳優デビュー。1989年には歌手デビューも果たし、1990年、1991年には『NHK紅白歌合戦』に出場。1990年代はいわゆる「トレンディ・ドラマ」に数多く出演し、時代のトップランナーとして駆け抜けた。そんな吉田栄作さんにとって、転機となった瞬間は?とうかがうと、迷うことなくある作品との出会いを語ってくださった。‎‎

「一つ、大きな転機と言えるのは、36歳のときに舞台の世界に入ったことですね。演出家の永井愛さんからのオファーがきっかけで、飛び込みました。

 それまで舞台は自分の戦う場所ではないと思っていたので、お受けすることはなかったんです。ただ、この時は永井さんの情熱に負けて挑戦に踏み切りました。僕はいまだに自分のことを舞台俳優だとは思っていないんですけど、それでも、そこからは毎年1本は……やらない年があったとしても、2本、3本やる年もあるので、だいたい1年に1本ぐらいは舞台をやるようになり、気付いたら自分にとっての主戦場の一つになったんですよね。これは大きなCHANGEだったと思います」

 2006年、永井愛さん演出の『やわらかい服を着て』の出演から舞台に飛び込むこととなった吉田さん。その後はコンスタントに舞台出演を続ける。

「この最初の舞台を終えて、その後、『三文オペラ』(2007年、白井晃さん演出)のお話をいただいて、その翌年が舞台『オットーと呼ばれる日本人』(2008年、 鵜山仁さん演出)と、ものすごく大きな作品がガンガン来て(笑)。そういう場に立っていくことで、いつの間にか僕が変わっていったという感じでした。

 『オットーと呼ばれる日本人』の出演を決めたのは、デビューして20年目のときだったんですよ。俳優としてその先に進んでいくには、どこか、自分に負荷をかけたかったんですよね。これをやりきれなかったらお前にもうあしたがないんだよ、というぐらいのことをやらないと、40代の自分に進めない。そんな感じで自分に発破をかけていましたね」