“バカ野郎!”と言われてもお稽古を

 とにかくなぞる、難しくてもやりにくくても、やらなければならない。それが古典だという。

「“バカ野郎!”って言われながらお稽古をし続けるんですが、こちらとしては、生意気ですがやっているつもりなんです。常日頃から先輩の舞台を見て、今はビデオという便利なものもありますからそれも駆使して。それで教わったことを先輩の前でやると、“えっ、俺、そういうふうにやってる?”と言われちゃうわけ。私の実力不足でありますが、”うーーーん……”となってしまう。

 難しいですよね。先輩が10年かけて築かれたものを、1回や2回のお稽古で教えていただくわけだから。その先輩だってその昔は、“先輩みたいにやるにはどうすればいいのか”と切磋琢磨していた時期がきっとあったでしょうし、またその前の先輩も……というやりとりが、脈々と400年以上続いているんだから。それを自分に落とし込む作業は、簡単なことではないですよ」

ーーそこには、想像を絶する大きな壁がありそうです。

「そう、常に乗り越えられない大きな壁がある感じでしょうか。不思議なもので、上手くいかなくても初日の幕は開くものでね。“上手くできてから幕を開けてくれ!”と言いたいんだけど、それはなかなか難しいんですよ」