高卒で日本気象協会に勤務し、20代で東京転勤、その後ラジオテレビの気象予報を担当した森田正光。40代で独立しウェザーマップ社長となり、今では160人の予報士と契約する彼のTHE CHANGEとはーー。【第2回/全2回】
「説明」するだけでは、聞くほうもつらい。でも、「解説」なら楽しく聞いてくれるはずだと。野球でもサッカーでもそうじゃないですか。解説者が面白いかどうかで、それを見ている視聴者の捉え方などもすべて変わってくる。 じゃあ、天気予報はどうしたらいいものか。
そのヒントとなったのが将棋番組だったんです。当時、NHKと東京12チャンネルで将棋番組がありました。その中で、往年の名棋士たち、米長邦雄、内藤國雄、芹沢博文らは、みんな楽しい解説をしてくれていたんです。
「どうしてあの金を動かすのか」と問われれば、「それは3手前の相手の銀の動きがあるから」と明確な解説が入る。
あるときには、解説を務めた芹沢が、米長と内藤の対局に「今日は、“邦”と“國”のお国対決だ」と、ダジャレまで入れるんです。分かりやすさと面白さを両立させた“一流”の解説を聞いて、これを天気予報にも取り入れようと思ったのは、大きなきっかけとなりました。そして、一流の解説者になろうと、すごい努力もしました。
当時は“若貴”の時代でしたから、「貴乃花が勝つと翌日は晴れる、負けると雨。そんな偶然がありますよ」なんてことも言いました。一部では、天気に関係ないことを入れて“不謹慎だ”なんて言われましたが、天気「予報」ですからと、続けました。そうして、いかに皆さんに、天気を身近なものに思ってもらうかという試行錯誤を続けました。その日々は、自分でも楽しかったですよ。