親として背中を見せていく

 一方で麻生さんは母親でもある。子どもとの関係についても聞いてみた。

「今、上の子がちょっと反抗期なので。今まではずっと私の言うことを聞いて育ってきたけれど、自我がしっかりたくましく育ってきていますね。私も親として成長しなきゃなって感じですね。ちょっと覚悟しています」

 そんな子どもたちへの接し方で、気をつけているのは?

「やっぱり、私とは違う人間だっていうことですね。それは意識しています。ひとりの人として尊重したいし、親の思いどおりにしようとかしないように。まっすぐ育ってほしいですね」

 ひとつの人格として、お互いを尊重する親子関係。それは『高野豆腐店の春』で演じた、藤さんと麻生さんの親子の関係に似ている。

「あの2人はお互いに支え合っていますよね。父親であるし、豆腐作りの仕事の上では師匠でもある。尊敬できる部分があるのがいいですよね。自分もそういう親になりたい。なりたいけど、それは相手に思ってもらうものだから、私は親として背中を見せていきたいですね」

 麻生さんにとって親子の姿を描いた『高野豆腐店の春』への出演は、俳優としてだけでなく、母親としても感慨深いものだったようだ。

 

■麻生久美子(あそうくみこ)
 1978年千葉県生まれ。95年に映画『BAD GUY BEACH』でデビュー。98年の映画『カンゾー先生』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞を受賞し、一気に脚光を浴びる。2006年にはドラマ『時効警察』(テレビ朝日系)で、コミカルな演技を披露し、新境地を開拓。二児の母となった今も、テレビドラマ、映画、舞台で精力的に活動し、8月18日に公開となった映画『高野豆腐店の春』では、尾道を舞台に頑固な豆腐職人の娘を演じている。
ヘアメイク:ナライユミ、スタイリスト:井坂恵(dynamic)
ドレス¥59,400(ルーム エイト ブラック/オットデザイン)、他アクセ、靴(スタイリスト私物)

■映画『高野豆腐店の春』
監督・脚本/三原光尋 出演/藤竜也、麻生久美子、中村久美ほか
8月18日(金)シネ・リーブル池袋、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開
©️2023「高野豆腐店の春」製作委員会

【ストーリー】
尾道の町の一角に店を構える高野豆腐店。
“大豆”と”水”と”にがり”だけでコツコツ作られる豆腐作りのように、淡々とした日々の生活にこそ、人々のしあわせがある。これは職人気質で愚直な父・高野辰雄(藤竜也)と、明るく気立てのいい娘・春(麻生久美子)の物語。毎日、陽が昇る前に工場に入り、こだわりの大豆で豆腐を作っていく父と娘。商店街の仲間たちとの和やかな時間。そんな日常を生きる親娘にそれぞれの新しい出会いが訪れる―。
“変わらないもの”と”変わっていくもの”を丁寧に描き、この時代を懸命に生きる人々に一筋のひかりを届けます。