「準備していたものを全部忘れてしまうくらい」

――演者さんとしては“よし!スタッフの人が笑ってくれた!”という気持ちだったんですね。倉さんから「こうやってみよう」という提案や、事前に準備したことはありましたか?

「普段通りにちゃんと脚本を読んで『こういう風にやろうかな』といろいろ考えていたんですけど、とにかく福田組の現場はこれまでとは何もかもが違うので、準備していたものを全部忘れてしまうくらいその場でのリアクションが大事でしたし、どっしりと構えている小手さんと戦うと、もう何がなんだかよく分からない状態になったので、考えてやってもあまり意味ないかなと。その場のノリじゃないけど、相手がどう出てくるか、それにどう返すかといった瞬発力みたいなのが大切なんだなということを今回の現場で学びました。それを経験できたことは、僕にとってのCHANGEになりましたね」

――でも内心では、もうちょっとかっこよくやりたかったと。

「そうですね。やっぱり沖田総司役って聞いたらテンションは上がりますし、少しは殺陣のシーンもあるのかなと思っていたら、最後まで何もなく(笑)。 ただ“コンセプト茶屋”に入りたいだけの青年みたいな感じになりました」

 そう言って撮影時を回顧しながら話す倉さんは実に楽しそうだった。福田監督はその後の舞台挨拶の場で「倉くんにも芝居のトップギアがあった」と語っていたが、先輩たちに果敢にぶつかっていき、その堂々たる姿は多くの観客の心に残るだろう。次回は今作の現場で学んだコメディの難しさについて語ってもらった。

 

取材・文/根津香菜子

 

くら・ゆうき
1999年12月19日、大阪府生まれ。2019年に俳優デビューし、翌年『夏、至るころ』で映画初出演にして初主演を果たす。近年の主な出演作にドラマ『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~』、『スロウトレイン』、映画『六人の嘘つきな大学生』、『リライト』、『隣のステラ』、『平場の月』などがあるほか、待機作に、映画『恋愛裁判』(1月23日)、『教場 Requiem/Requiem』(2月20日)が控える。

■「新解釈・幕末伝」
脚本・監督:福田雄一、出演:ムロツヨシ、佐藤二朗、山田孝之、広瀬アリス、岩田剛典、松山ケンイチ、賀来賢人、染谷将太、勝地涼、矢本悠馬、倉悠貴、山下美月、小手伸也、高橋克実、市村正親、渡部篤郎ら。
2025年12月19日(金)より全国公開中。