執筆を通して気づいた“子どもの頃の気持ち”「寂しかったんだな」
共働きの家庭で育ったが、今作の執筆を通して、かつての記憶への向き合い方も変わったという。
「父も母も働いていて、一緒に過ごす時間は多くありませんでした。これまでも幼少期のエピソードはいくつか書いてきたのですが、その根底には『構ってほしい』『私を見てほしい』という気持ちがあったのかもしれないなと思います。子どもの頃はあまり口にしなかったけれど、本当は寂しかったんだなと、今回書き下ろしたエッセイを読み返す中で、過去の自分の気持ちをあらためて知ることができました。それは、自分にとって大きな気づきだったと思います」
とはいえ孤独だったわけではなく、今でも仲良しの兄とのエピソードになると笑顔がはじける。
「兄の結婚式の話を書いていたときは、家で推敲しながら、自分でも思わず声を出して笑ってしまうくらいでした。書いていても読んでいても、すごく楽しかった思い出の一本です」
執筆を通じて家族との思い出を再定義していったが、同時に自身が“丸くなった”ことも実感したという。
「昔は、全然心に余裕がなかったです。周りを寄せ付けない“ハリネズミみたいな女”でした(笑)。それがこの仕事を続けるなかで、心に余裕がある、ステキな先輩方に出会って、そんなふうに『許容できるっていいな』と考え方が変わってきたと思います」