初メイクはブルボンヌさんに「それからもやってもらっていたら、だんだん圧力を感じようになって(笑)」

 ゲイを取り巻く環境をめぐっては、一見理解のあるような言説でも、当事者らから一面的だと疑問の声が上がることもある。ニクヨさん自身も、本人にしか知り得ない動機で、女装の世界に足を踏み入れていたのだ。

「私のゲイ業界デビューは大学生のとき、パソコン通信でした。当時のパソコン通信って、Macを使っている人が多かったからか、まぁ、とんがった人が多くて。クリエイターや文章を書く人、ものを作っている人、そういう人が多い中で、“どうしたら大学生がそういうお兄さんたちと上手くやっていけるかな”と考えたとき、“演者同士になればよいのでは”と思ったんです。演者になれば、下駄を履かせてもらえるんじゃないかと。だから、衝動的に女装を始めたのではなく、コミュニケーションを楽にしたいから、だったんです」

肉乃小路ニクヨ 撮影/松島豊

──初めての女装、ファッションは覚えていますか?

「覚えてますよ。全部人から借りて済ませたんですけど、白いセパレートのキャミソールみたいな、変な衣装を着てやっていましたね。初めてのメイクは(女装パフォーマーの)ブルボンヌさんにやってもらいました。それからもいつもやってもらっていたら、だんだん私の顔をメイクすることに“なんでこいつに時間を取られなきゃいけないの!”という圧力を感じようになって(笑)。
 それでメイクも全然興味がなかったんですけども、仕方なく“自分でやります”って、自分でやり始めたんです」