俳優・佐藤浩市の出演作リストは驚くべき長さだ。1980年のデビューから映画、ドラマに出演しつづけ、2023年は横浜流星と共演する主演作『春に散る』をはじめ、公開される出演映画は実に9本になる。佐藤さんにとっての「THE CHANGE」とはなんだったのかーー。【第2回/全4回】

佐藤浩市 撮影/三浦龍司
佐藤浩市 撮影/三浦龍司

 俳優として長いキャリアを重ねてきた佐藤浩市さん。現在は仕事に対して、どのように向きあっているのだろうか。佐藤さんが主演した映画『春に散る』の主人公・広岡仁一は心臓に問題を抱えながら、若者とともに夢に向かう役だが、自身とかぶる部分もあるという。

佐藤「やっぱり自分でも、この年になれば体の一つや二つ、不調も生まれてきますし、その中で日々戦わないといけないんですけど、毎年毎年夏を越すのがきつくなってきて(笑)。
  夢を追うというか、完璧に自分の最後、それをやっぱり一番よかったときの仲間たちと終えたいっていう、非常にこう、ロマンチックなことを考えて、広岡は日本に帰ってきた。映画では、あまり背景的なことを語っていないじゃないですか。逆にそれが良かったかな。

 人間として当たり前の弱さを抱えながら、若いやつらともう一つ次のワンステップを踏み出せる。自分たちの世代、上の人たちもふくめて、そういうことを考えられるようなシチュエーションがあるということは、人生にとって幸せですよ」