「これまでネタが完成したことは一度もないと思ってます」

 ここで、“責任から目を背けたらどうなっていたか”と問うと、中西さんは「止まる」と即答した。

「成長もしないでしょうし、自分の可能性も分からず、そこで完成形になってしまう。責任を伴う挑戦をするから、ひとつ器が広がるんです。
 晃行の復帰後だって、役割を逆にして、僕がネタを覚えるから晃行にはフリーで入ってきたらええからと言ったんです。彼には昔のようにやりたい気持ちもあるかもしれないけど、僕は昔にはこだわらないし、むしろ、ここからホンマのなすなかにしの漫才が生まれるんかなって思ってるぐらいです。
 晃行にはまだ覚醒してない潜在能力があるし、もっともっと羽ばたける。僕、これまでネタが完成したことは一度もないと思ってますから」

 前向きに切り替えながらも、那須さんの休養を、芸人としての「ひとつの転機」と明言した中西さん。しかし、人生全体で見た場合は、また違った“転機”もあったという。

「人生でいうと、結婚して子どもが生まれたことはデカいですよねぇ」

 しみじみ語るその表情は、中西さんが1人の芸人であると同時に、1人の父親でもあることを雄弁に物語っていた。2019年に長男が誕生した際、中西さんは所属事務所を通じて《可愛さですでに大きく父親を抜いているので この先彼に負けないよう僕も努力しようと思います》などとコメントし、23年の次男誕生時には、《君のお兄ちゃんが赤ちゃんだった時もパパは可愛さで負けたけど君にも負けたよ》と自身Xへ投稿していた。

 相方であるいとこ、愛する妻、可愛すぎる2人の子ども……中西さんにとって“身内”はとても大きな存在なのだ。

(つづく)

■作品情報
『いまのところ』(双葉社)
著:中西茂樹(なすなかにし)
発売日:2026.02.18
予価:1,650円 (本体1,500円)
判型:四六判
ISBN:9784575320510