「“諦める”って、実はすごい前向きな行動やと思うんです」
──『いまのところ』では、年齢を重ねるにつれて“だんだん生きやすくなっている”と記していますよね。
「生きやすいというのはつまり、“無理しないこと”。最初は憧れや理想があって、格好をつけて、何枚も何枚も服を着てる状態なんですよね。でも、だんだん『これは自分には似合わない』とか、『着こなせない』といったことに気づいて、着ているのを諦めて、どんどん、どんどん脱いでいく。服もたくさん着れば着るほど重たくて、身動きが取りづらくなるけど、シンプルにしていけば身軽になるじゃないですか」
とはいえ、最初から裸で生きればいいというわけでもないとも語る。
「最初から裸でいると、自分に何ができるか、できへんかがわからへんかもしれない。一回チャレンジしてみて、打ちのめされて、違うんやって気づいて脱いでいった方が、自分のできることが見えてくる。一旦いろいろやってみて、削ぎ落として、自分の木にはこういう枝が生えてんのやって、わかってくる。だから“諦める”って、実はすごい前向きな行動やと思うんです」
着ている服を脱ぐが如く、31歳で何の当てもなく、裸一貫で上京した中西さん。そんな経験から中西さんが思う20代の武器は「根拠のない自信を持てること」だと断言する。
「どうしても大人になればなるほど、余計なリスクを考えるようになってしまう。でも20代は勢いだけで突っ走る時期だと思うんです。だって、せっかく最高速で走れるエンジンを積んでるんだから。先行きも考えない。そのためには、根拠のない自信がいちばんの原動力ですよね」