お笑いの本を芸人に“読んで”っていうのは、ちょっと恥ずかしい

 少年時代にひっかかっていたことが、大人になってから言語化できるようになったということは誰しもあることかもしれないが、それを一編のエッセイにまで昇華させるのは、誰にでもできることではない。

『屋上とライフル』は自ら「お笑いの本」という意識で執筆された初めての著作となったわけだが、芸人同士で本を出したときに「本読んだよ」といったやりとりはあるのだろうか。

「小説の場合はありますけど、今作のようなお笑いの本を芸人に“読んで”っていうのは、ちょっと恥ずかしい部分があるんですよね。一番渡しづらいかもしれない。小説はお笑いとは別ジャンルなので、逆に向こうもすんなり読めると思うんです。でも“笑い”に挑戦したエッセイとなると本業に近いじゃないですか。“ネタライブやるから観に来いよ”なんて、芸人には言わないですからね、それと一緒で言えないんじゃないですかね」

 極上のコントを生み出す芸人としての側面から離れているからこそ書ける小説。それとは違い、芸人として追及する自らの笑いと限りなく近いところから生み出されるエッセイ。この両輪が回り始めた先に、板倉さんの魅力がさらに輝きを放つ変化、「THE CHANGE」があるのかもしれない。

■プロフィール
板倉俊之(いたくらとしゆき)
1978年1月30日生、埼玉県志木市出身。NSC東京校4期生で、同期の堤下敦と98年にお笑いコンビ・インパルスを結成。『爆笑オンエアバトル』や『エンタの神様』など数々の番組で活躍すると、2001年から始まった伝説の番組『はねるのトびら』のメンバーとしてお茶の間の人気者となる。最近ではYoutubeでハイエースによる一人旅などの趣味を生かした、その名も「板倉 趣味チャンネル」を開設し多くのファンを獲得。また2009年には処女小説となる『トリガー』を上梓。現在までに小説6冊を世に送り出し、作家としても才能を発揮。23年8月に最新著作として自身初のエッセイ集『屋上とライフル』(飛鳥新社)を出版。