自宅で執筆する際に守っている“ルーティーン”

「外出先だとあまり集中できないということが分かってきたんですよね。だから出先では、アイディアとか先の展開といった概要を考えるだけにしています。ノートパソコンで書いているんですが、新幹線の席とかだと揺れもあるし、気が散ってあんまり進まないんですよ。

 まあ、そこも性格だと思うんですけどね。執筆される方の中には雑踏のほうが集中できるという人もいて、わざわざお客さんがワイワイしている喫茶店に行って書かれる方もいらっしゃいますから。僕はやっぱり他の人がいるとダメですね」

 外では執筆しないという板倉さんだが、逆に自宅で執筆する際に守っている“ルーティーン”はあるのだろうか。

板倉俊之 撮影/片岡壮太

「んー……換気扇の下でしかアイコスを吸えないようにしてますね。ずーっと座り続けて腰痛めないようにするため、吸いたくなったら立つっていうルールにしてるんです。よく“タバコは百害あって一利なし”っていいますけど、そういう意味では一利くらいあるんじゃないんですかね。

 15時間くらい書く日もありますね。もうちょっとでキリのいいところまで行くのに、情景描写で詰まっちゃったりして。そうなるともう頭は回転している状態なんで、眠くもならないんですよ。

 だから本当は脳になにかを差しこんでコンピューターにつなげて、思った情景をそのまま書いてくれるものがあればいいなって思ってます。自分の中にある映像を文章で伝えるっていうところに時間がかかるんですよね」

 15時間という時間を聞いて驚いたが、何よりもすごいのは長時間にわたって執筆を持続することができるその集中力。全身全霊をかけて創作にのめり込んでいくこの集中力が、板倉さんの中でひらめきを生み出すきっかけ、「THE CHANGE」になっているようだ。