どちらも否定しない。正義と悪では割り切れない『ゴールデンカムイ』の魅力
――北村さんは『ゴールデンカムイ』の面白さや魅力をどんなところに感じますか?
「壮大かつ浮世離れした世界観ですが、登場人物たちのセリフや人間の描き方に、芯が通っているなと原作を読んだときから感じていました。その原作の良さを僕たち役者が演じた実写版では、さらに分かりやすくエンターテイメント化して、より面白く見られる作品になっているので、実写版作品として非常に成功したなと思います。
よく、日本で実写版を作ると、いろいろな意見が出ますが、こんなに漫画原作の実写版を面白くうまく作っているのは素晴らしいと思います」
――山﨑賢人さん演じる主人公の杉元佐一をはじめ、アイヌの埋蔵金を狙うという目的自体は単純明快でありながら、そこにアイヌの文化や歴史、生きるための知恵なども絡んでいて学ぶことも多いですが、北村さんがこの作品を通して何か考えたことはありますか。
「物語の背景や芯がしっかりしているので、ある一面を表面的に描いている話ではないんですよね。たとえば、これまでも幕末はさまざまな作品で描かれてきましたが、幕府側と政府側それぞれにつく人たちが、自分はどちらにつく決心をすればいいのかと悩みもがいている人たちがたくさんいる時代なんです。
今作はその中でアイヌという民族や文化も入ってくるのだけど、みんな自分たちが選んだことだから、それぞれが正義なのですよ。 “勝てば官軍負ければ賊軍”じゃないですが、幕末期を題材にした作品では政府軍を悪く描いていることが多いけれど、結局はその世の中が今の時代に流れてきて、僕たちはそこに生きている。結果、続いてきたものが正しいように思えますが、それがはたして正義か悪だったのかというわけではないんですよね。
僕がこの作品の好きなところは、そこをとてもうまく客観的に捉えていて、どちらの側も否定的に描いていないところです。だから、見ているほうも嫌な気分にならず、スッと入ってくるし、そこを面白く描いている部分が魅力だなと思っています」