「自分とは真逆を行く土方を認めている」己を曲げなかった二人の一騎打ち
――さて、今作の見どころの一つでもあるのが、舘ひろしさん演じる土方と北村さん演じる犬童の一騎打ちです。あのシーンは個人的に胸にくるものがありましたが、北村さんは犬童として、どんな思いがありましたか?
「犬童としては、立場上、政府軍につくという決断をしたので、そこに誇りを持って生きていかなければならない。でも、犬童もほかの人も、もともとは武士として育ってきた人たちですから、土方の“侍”としての生き方は誰もが分かるはずなんです。
ですが、どこかで自分の区切りをつけて政府軍につかないと“次の時代を見ないと何も変わらないぞ、追い回されるだけだぞ”と言われる中で、犬童は政府軍につく決断をした。武士として、土方の生き方を理解し認めながらも、自分は違う道を選んだという複雑な心境だったと思います」
――時代の流れと自身の矜持の間で苦悶し、翻弄される姿が描かれていました。
「土方は農家出身、片や犬童はずっと武士として生きてきたので、土方のやっていることのすごさは犬童も認めざるを得ないんですよね。それに、自分にはできなかったことを貫いている土方の姿を見て、内心はイライラもしていたと思うんです。
お互い“武士”という生き方にプライドを持っているけど、犬童は違う道に進んだから、その生き方に誇りを持たなければと思いながらも、自分とは真逆を行く土方に、心の中では憧れてすごいなと認めている。そういういろいろな思いはあるけど、決してその気持ちは出さないんです」
――お互いの生き様を認め合いながらも、最後まで曲げなかった二人の関係性も感じました。
「どちらが正義なのかは誰にも分からないことですが、2人とも最後まで己を曲げなかった。そんなお互いの生き様が描かれていたなと思います」
そう言って一度、姿勢を正した北村さん。一つひとつの質問に対する答えに、力強く真っすぐに語る目が印象的だった。次回は、本作で向き合うことになった舘ひろしさんとの共演を振り返ってもらった。
つづく
北村一輝(きたむら・かずき)
1969年生まれ、大阪府出身。90年から俳優として活動を始め、99年に映画『皆月』『日本黒社会 LEY LINES』でキネマ旬報日本映画新人男優賞などを受賞。その後、多くのドラマ・映画・舞台に出演。近年の主な出演作に、ドラマ『地面師たち』(Netflix)、「御上先生」(TBS系)、『ESCAPE~それは誘拐のはずだった』(日本テレビ系)がある他、2月6日公開の映画『たしかにあった幻』、2月27日公開の映画『木挽町のあだ討ち』26年度前期NHK連続テレビ小説『風、薫る』に出演。
■作品情報
『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』全国にて大ヒット公開中
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、栁俊太郎、塩野瑛久、稲葉友、矢本悠馬、大谷亮平、高橋メアリージュン、桜井ユキ、勝矢、中川大志、北村一輝、國村隼、池内博之、木場勝己、和田聰宏、杉本哲太、井浦新、玉木宏、舘ひろし
原作:野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:片桐健滋
脚本:黒岩勉