十種競技の元日本チャンピオンから、“百獣の王”として芸能界で大ブレイクを果たし、現在は俳優としても躍進する武井壮。彼の人生の転機『THE CHANGE』に迫るインタビュー後編では、とんねるず・石橋貴明ら大物芸人に見出された西麻布での下積み時代から、亡き兄の導き、そして50代で俳優業に本格挑戦する胸の内を明かす。【第2回/全2回】
ただ漠然と何かを始めるより、成功するための最短距離は何かっていうのを探る。それが私のやり方です。たとえば十種競技では、各十種目の日本ランキング上位選手の得点を洗い出し、日本人の得手不得手を把握し、自分がどの種目を強化すれば効率良く得点を稼ぐことができるかを考えました。
その結果、走る種目を強化すればミスも少なく高得点が稼げて、技術的なプレッシャーに影響されず、勝ちやすい試合運びができると考え、まずはスプリントを強化し、100メートルと400メートルでは十種競技の日本最高記録を出せるようになりました。そこに、子どもの頃から磨いていた、頭で思い描いたイメージ通りに体を動かす技術を掛け合わせて、技術種目の練習を減らしたんです。
苦手な種目の技術を磨くのは時間もかかるし、体も疲れる。するとフィジカルトレーニングにも悪影響が出る。ならばフィジカルに特化して能力を伸ばし、試合前に一度、技術練習をして、そのときの体の強度に合った一つの技術で試合に挑む。その戦略が奏功して短期間で日本一になれました。
なので、西麻布のバーでも、芸人さんたちとどう楽しく話せるか、いろいろ試しました。たとえば「すみません、ミルクをロックで」って注文しながら犬のガムを噛むというボケでした。
それをやっていたら、「ここ西麻布よ? それ、牧場で飲むやつやし、噛んでるの、犬用!」なんてツッコミをもらえるようになって、そしたらまたどう返せば面白いか考えてっていうのを繰り返していたんです。その姿を見て、「何なの、君は?」って声をかけてくれたのがお客さんとして来ていた、とんねるずのタカさん(石橋貴明)やピエール瀧さんや、多くの芸人たち。