夢枕に立った兄からの言葉。「お前はすごいんだから、全力でやれよ」

 でも、兄が亡くなってしばらくして、僕の夢枕に立ったんですよ。それで、「野球の道具を棺桶に入れてくれたおかげで、こっちで野球できて、すげえ楽しいよ。心配すんな、お前はすごいんだから、やりたいことを全力でやれよ」と話していました。

 それでいろいろな思いが吹っ切れた。そこからは、猛烈にトレーニングをして陸上で日本一にもなったし、山本(圭壱)さんとも出会えた。

 実はその山本さんも、さかのぼれば若手の頃、島田紳助さんの野球チームで兄とチームメイトだったということが分かった。それもあって山本さんは僕をかわいがってくれた。また、デビューしてからは(坂上)忍さんの番組にレギュラーで呼んでもらったりもしました。

 全部つながっているんですよね。恩人は皆、兄と関わった人たちからの縁。兄が生きてきた足跡は途絶えたわけではなくて、兄と私との絆がまだ生きているんです。兄が導いてくれたのかもしれないなと感じます。

 だから今、役者を始めたのは、兄が目指した道を進もうと感じたことも大きなきっかけ。30代、40代はタレントになることに費やしたので、50代からは、今度は兄の分も頑張ろうと思って。二人分の力を合わせれば一人で戦うよりは強いものができるかもしれないなと思います。

 もちろん、ヒットする映画って何かなとか、たくさんの人が見てくれて覚えてくれる映画ってなんだろうと研究をしながら。最短距離で成功する方法は、これからも常に探り続けていきたいと思っています。

武井壮(たけい・そう)
1973年5月6日生まれ、東京都出身。タレント。修徳中学・高等学校を卒業後、神戸学院大学に進学し、陸上競技を始める。大学3年からは十種競技に転向し、同大学卒業後に学士編入した中央学院大学時代の97年に十種競技で日本選手権優勝。卒業後は陸上競技を引退し、ゴルフ留学やスポーツトレーナーなどを経て、芸能界入り。2013年に『うもれびと』(フジテレビ系)に“百獣の王”を目指す男として出演し、大ブレイク。『笑っていいとも!』をはじめ、数々のバラエティ番組でレギュラーを務めるようになった。現在は俳優の仕事を増やし、国内やタイ・フィリピンなどの映画やドラマなどで活躍する。