「いまはもう無理もできないから」とある作品を経てTHE CHANGEした心境

──無理をしなくなったということですか?

「無理ができなくなったんです。前は無理してやっていたし、無理して得たものもたくさんあった。でもいまはもう無理もできないから、早めに諦めておこうと。ケガしないようにっていうのもあります(笑)」

つまりは「諦めが早くなった」というのは後ろ向きな言葉ではなく、いまできる中でベストを尽くすための選択というわけだ。そこへの転機として、歌舞伎の舞台に立ったときの話が出てきた。

──現在の境地に至るまでに、なにか影響を受けた経験はありますか?

「歌舞伎(2014年『スーパー歌舞伎II 空ヲ刻ム者-若き仏師の物語』)をやったときのことが大きかったですね。歌舞伎では、汗をかいたりしていると"何を汗かいて芝居してるんだ"みたいなことを言われるんだそうです。もちろん、冗談なんですけど。つまり、汗をかいてもいい芝居になるわけじゃないよねという」

──それは興行として長くやり続けるものだからでしょうか。

「おっしゃるとおり。歌舞伎は400年の歴史の中で積み上げられた型があるからこそ、あれだけの長期間の興行を次から次へと演じ続けることができる。何のためにこのお衣装があるのかとか、このお化粧をするのかといったことを、型を通して考えさせてもらいました」