岡田さん、染谷さんとの撮影現場での関わり合い

 内田さん演じる桐谷は強い喪失感をともなう過去を持っているといい、「そこでへこまず、誰かのためになりたいと強く生きてきた人なので、信念を持って誠実に仕事に取り組んでいる人。一方で、本人のベースのキャラクターは、生きることへの厳しさを知っているからこそ、柔和な部分があるのではないか?」と解釈しているという。

ーー岡田さん、染谷さんとは現場でどんなかかわりがありますか?

「ふたりはすごく仲が良くて、あの兄弟を見ているだけでほのぼのするので、最初の頃はふたりの空気感に触れながら中条あやみちゃんと一緒にくすくす笑っていたりしたんです。染谷さんとは、2人になると映画や舞台の話をしますね。すごく映画に精通していらして、カメラ機材の話もお好きなんですよ。そんなにおしゃべりなタイプではないのですがマニアックな話を楽しんでいます」

 文献や過去の作品を掘り下げ撮影に挑むーーその勤勉さには頭が下がる思いだが、学ぶことを意識するようになった、CHANGEした瞬間がはっきりとあるという。家出同然で飛び出し、舞台俳優として互いに励まし合って「ただただ楽しくやっていた」時期、あるときを境に「楽しいだけではできないんだな」と実感した。20代後半のころだった。

「それまでは自分の延長でやれるような役だったり、飛び道具的な役が多かったんです。それは“楽しい”で済んでいたんですが、ちゃんと構築していかなきゃいけない役をやるようになってきたとき、“あれ? これ、いままでのやり方が全然通用しない……どうしよう、楽しくない……”って」

 そのときに気づいた。「これを仕事にしていくのって、ものすごく大変なことかもしれない」と。

「それから、“本を読むってどういうことなんだろう”みたいなことをもう一度学んだり、さっき役をやるためにいろいろ調べると話しましが、そういうことが必要なんだと気づいていきました」

 その瞬間にCHANGEした仕事観は、いまなお内田さんを満たし楽しませているのだった。

うちだ・ちか
1983年3月12日、神奈川県出身。日本大学芸術学部文芸学科中退後、演劇活動を開始。さまざまな演出家のもとキャリアを積み、2008年に橋口亮輔監督「ぐるりのこと。」で映画デビュー。近年は毎クール連続ドラマに出演中。近年の主な出演作に舞台『ふくすけ2024ー歌舞伎町目次録ー』(2024年)、『おどる夫婦』(2025年)、映画『ナイトフラワー』(2025年)、『災 劇場版』(2026年)、ドラマ『君が死刑になる前に』(2026年、日本テレビ系)、『田鎖ブラザーズ』(同、TBS系)、『お別れホスピタル2』(同、NHK)、『風、薫る』(同)がある。