1994年、映画『学校』『月はどっちに出ている』『教祖誕生』で日本アカデミー賞新人俳優賞、話題賞(俳優部門)を受賞した萩原聖人。現在、4年ぶりの主演映画『月の犬』が公開中だ。そんな彼のTHE CHANGEとは――。【第1回/全2回】

萩原聖人 撮影/河村正和 ヘアメイク/小口あづさ(NANAN) スタイリスト/中山浩一郎 衣装/1PIU1UGUALE3

令和に放つ“昭和の匂い”。4年ぶりの主演映画『月の犬』で見せるたたずまい

 映画の主演は『島守の塔』(2022年)以来4年ぶりですか。現在公開中の映画『月の犬』で、元極道の主人公・東島を演じていますが、監督とプロデューサーが僕の主演にこだわってくださったみたいで、僕の中に残り、匂い立つ“昭和臭”を嗅ぎ取ってくださったのではないかな、と思います。

 時代は移り変わり、新しいものの中にはいいものもたくさんあり、そういうものを楽しみつつも、「時代に取り残されないようにしよう」とは思ってないんですよね。

 自分が人としても役者としても栄養になっているのは、その時代に見た・聞いた・出会った・食べたものだから。そういうところを感じて、僕のこれまでの軌跡みたいなものも含めて、主演として期待してくれたのかなと思っています。

 作品全体は、血の匂いや犯罪の香りが漂うノワール的な表現をしていますが、“ノワール”って、「色気」「渋さ」という意味合いもあるそうで、男としては憧れる要素が詰まっているわけですよね。

 監督が言っていたんです。「今この時代に、Vシネマ、ATGの世界観を表現したいんだ」と。令和の今、ヤクザモノって社会的にはよろしくないじゃないですか。でも男の子って「よろしくない」と思いながらも「かっけえ!」と思うものです。

 僕自身も若い頃にそういうものに憧れつつ、でも時代が“トレンディ”に移行している最中で、僕も多くのトレンディドラマに出演しました。真逆の世界観ですよね。僕だってやってみたかったですよ、もともとは『ビー・バップ・ハイスクール』(1985年)に出たかった人ですから。

 今回の『月の犬』は、セリフも少なく、説明的なものがあまりないんです。僕の役柄は、妻を病気で亡くし、その出来事に対して後悔し、極道から足を洗う――というバックボーンみたいなものは描かれていますが、でも、やっぱり“たたずまい”から何かを感じてもらうしかない。

 その“たたずまい”に説得力がないと作品自体成立しないものになりかねない。カッコつけすぎてもカッコ悪いし、チンピラには見えたくないし、難しかったですね。東島が過去を背負っているからこそにじみ出る、目に見えない“何か”をまとわないと、と思いました。

 過去は誰にでもあるし、黒歴史やミスなどの“後悔”はいろいろあると思います。そう思うと、僕と東島には、後悔を浄化させることができずに生きてきた男、という部分になにかしらの共通点があるかなと思います。

 後悔といえば――。