危機から一変、テレビで引っ張りだこの大人気芸人に

 当時を思い出しながら思わず苦笑いを浮かべた小島さん。かなり危なっかしい形で新しい事務所に所属したのだが、ここからあの一世風靡したギャグが誕生するまで実はものすごいスピード感で話は続いていく。

「早かったんですよ、“そんなの関係ねえ!”ができるまでが。2006年の3月に大学卒業とともにフリーになって、できたのが5月ぐらいだったんです。それでライブでやりだしたら結構ウケがよくて、周りの先輩からも褒めてもらえるようになってきたんですね。

 そうしているうちに1000人とか2000人とか入る会館でやるライブに呼んでいただけるようになって。そのライブはテレビに出ている人気の芸人さんばかりが出演していたので、初めは“こいつ誰だ?”みたいな感じになるんですけど、終わったあとは会場の外で子供たちが“そんなの関係ねえ!”ってやってたりして。

 それで手ごたえを感じて少しずつ改良していったんですけど、翌年の5月くらいにテレビでそのネタが跳ねて、色々な番組やイベントにドンドン呼んでもらえるようになったんです」

 まさにサクセスストーリーとはこのことだろう。グループ解散の危機から一年、あっという間にテレビで引っ張りだこの大人気芸人になってしまったのだ。ところが小島さんはため息まじりに話を続ける。

「でもその頃は本当に、毎回なんかこう地に足がついてないっていう感覚がしていたんですよね。本当に忙しかったのはその後1年なかった感じです。

 僕はブレイクした瞬間から“すぐ消えるセミ芸人だ”って言われてたんですよ。ひと夏越せないだろうって。これがウマいことに、デビューしてからちょうど7年ぐらい、セミの寿命と同じタイミングで仕事が落ち着いちゃったんですよね」

 サクセスストーリーには必ず困難に遭遇し、歩みがとまってしまうタイミングがある。しかし、そこであきらめずにもう一度前に進み始めるのもまたサクセスストーリーの醍醐味だ。小島さんの話は続く。

「“セミ芸人”とまで言われてくやしくて、絶対にそうならないように一生懸命もがきましたね。資格をたくさん取りに行ったり、新ネタ、 新ギャグをライブで試してみたり。トークが苦手だったので、こちらからお願いして、番組の前説をやらせてもらったりもしました」

 そうしてもがきつづけるうちに、小島さんの前に一筋の光が見えてくる。その光の先には今までの自分のポジションとは全く違う新たな境地があった。

「YouTubeで『おっぱぴー小学校』という教育チャンネルを始めるようになって、教育関係のお仕事をいただけるようになったり状況が次々に変わっていったんですよ。今まではどっちかっていうと、子供に対して親が“見ちゃダメ”っていうタイプの芸人でしたからね。まぁ、裸でしたしね(笑)」

 そういって笑った小島さん。いまはまだこのサクセスストーリーの途中であり、この先にもまだ幾多の紆余曲折が待ち受けているかもしれない。しかし、“セミ芸人”からもがきつづけ、親がすすんで子供に見せる“教育系芸人”へと華麗に進化した今の小島さんなら、これからも困難を乗り越えるための変化「THE CHANGE」を生み出し、世間を賑わし続けてくれることだろう。

■プロフィール
小島よしお(こじま よしお)1980年11月16日、沖縄県島尻郡久米島町で生まれ、その後千葉県千葉市稲毛区で育つ。早稲田大学教育学部国語国文学科に入学すると、お笑いサークルに入り、のちのキングオブコント王者・かもめんたるらとコントグループ「WAGE」を結成し活動。2006年からピン芸人になると、翌年「そんなの関係ねぇ!」、「おっぱっぴー」などのギャグで大ブレイク。現在は、自身の身体能力を生かしたスポーツ系の仕事や、コメンテーター、教育系YouTuberとしても活躍の場を広げている。

『小島よしおのボクといっしょに考えよう』
AERA dot.で連載中の子どものお悩み相談が待望の書籍化。子どもと同じ目線で寄り添う、小島よしおさんの優しく温かい回答が話題を呼び、ツイッターで関連ワードがトレンド入りも果たす。読むと心が温かくなる一冊。全文ルビつきで、子どもも大人も読める。
小島 よしお 著
定価:1540円(税込)
発売日:2023年9月7日