撮影現場は終始和やかなムード

 今回の『ほつれる』でも、印象的な食のシーンが多い。染谷将太さんが演じている綿子の恋人・木村とキャンプに行き綿子がさまざまな準備をする姿や、田村健太郎さん演じる夫・文則と綿子がワインをたのしむシーンなど、リアリティがあふれる場面が描かれている。しかし、夫とは別に恋人がいるヒロイン・綿子は、男性陣との緊張感のあるやり取りも多い。

「たむけんさん(田村健太郎)とは、劇中では冷めた関係だったのですが、カットがかかった瞬間からはずっと喋っていました(笑)。あと、染谷さんともほのぼのとした会話をして過ごしていました」

 映画での、殺伐とした夫婦のやりとりとは違い、撮影現場は終始和やかなムードだったようだ。

「綿子と文則が住んでいる設定のマンションのベランダから、きれいな富士山が見えたんです。撮影の合間に外を見るのが日課になっていて、たむけんさんと“きょうも富士山がきれいだね”と話していました。撮影最終日は富士山を見ながら“これで最後なんだ……”としんみりしていました。

 今回の映画は、木村(染谷将太)とキャンプに行くシーンなど、ロケが多かったので本当に旅をしている気分になりました。とくに黒木華ちゃん演じる、親友の英梨とバーベキューをするシーンは、撮影のスタートがかかる前からずっとふたりで食べていました(笑)」

門脇麦 撮影/松野葉子

 いきいきとした表情で釣りと、食について語ってくれた門脇さん。あふれるエネルギーは、そこからやってくるものなのかもしれない。

門脇麦(かどわきむぎ)
1992年ニューヨーク生まれ。2011年に『美咲ナンバーワン‼』(日本テレビ系)で女優デビュー。2014年に公開された『愛の渦』、『闇金ウシジマくん Part2』などの演技が評価され、第6回TAMA映画賞最優秀新進女優賞、第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第88回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞など新人各賞を受賞。2018年に公開された『止められるか、俺たちを』で主人公を演じ、第61回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。最新映画『ほつれる』では、主人公の綿子を演じる。
ヘアメイク:Yoko Fuseya(ESPER)/スタイリスト:Satoshi Takano
ドレス¥71,500、シューズ¥59,400(共にコズミックワンダー/センター・フォー・コズミックワンダー03・5774・6866)
バングル¥27,500(ヤエカ/ヤエカ アパートメント ストア03・5708・5586)
イヤーカフ¥15,400(パール オクトパシー/フィルグ ショールーム03・5357・8771)

映画『ほつれる』
主演・門脇麦 田村健太郎 染谷将太 黒木華
9月8日(金)、新宿ピカデリーほか全国公開
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