神谷明のキャリアは53年におよぶ。特に『キン肉マン』、『北斗の拳』、『シティーハンター』と連続して伝説的作品で主演した1980年代の活躍は圧巻の一言。中でも“代表作”と語る『シティーハンター』と主人公・冴羽リョウ(※正しい表記は「けものへん」に「尞」)の人気は不変で、2023年9月8日より劇場版最新作『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が公開中。いまだ現役という超人ぶりを見せつける神谷さんのTHE CHANGEとは――。【第4回/全4回】

神谷明 撮影/冨田望

 「世の中の見え方がまったく変わった」。これまでに、そんな体験をしたことがあるだろうか。神谷明さんは、「ある」と即答する。仕事にまつわることかと思っていると、それは「写真」だと想像を裏切る言葉が返ってきた。

 神谷さんが馬車馬のごとく走りまくっていた1980年代。マネージャーからの「写真って面白いよ」とのひと言がきっかけだったという。

「最初は公園で遊んでいる子どもの笑顔とか、自然な顔を100個集めようかなとか、そんな気軽な感じで始めたんです。それでキヤノンのカメラを買って撮りはじめて。そこから動物とか花とか自然とかを撮るようになっていったんですが、写真を撮るようになったら、それまでなんとも思っていなかったり、見過ごしていたものに目が行くようになって。
 街も人も、これまでも見ていたはずの風景、景色が“あら?”と、世の中の見え方がまったく変わったんです」

――そこからは、どっぷりですか?

「そうですね。最初にキヤノンを買って、そこからソニー、ミノルタも使ったんですが、結局キヤノンに戻って30年くらいかな。でもね、機材の沼にはハマってません。最初は機材を揃えることも楽しかったんですけど、そのうち、自分の中でのいい写真を撮りたいと思って、どんどんいろんなことを排除していって、最初のカメラでしっかり撮ろうと。でも写真は始めたころと全然違いますよ」