1回戦が始まったばかりのM – 1グランプリ2023で、イチオシしたい芸人が令和ロマンだ。M – 1グランプリ2022の敗者復活戦で鮮烈なネタを披露すると、視聴者投票2位に食い込んで今後の活躍を期待させた。その後も各劇場を沸かせて、7月の『ABCお笑いグランプリ』で準優勝。令和ロマンとは何者か。その正体に迫った。
 令和ロマンのTHE CHANGEとは――。【第3回/全4回】

令和ロマン 高比良くるま(左)と松井ケムリ 撮影/武田敏将

 慶応大学のお笑いサークル「お笑い道場O-keis」の先輩後輩という関係で「魔人無骨」という名前で活動。2019年に「令和ロマン」と改名し、2020年には『第7回NHK新人お笑い大賞』で優勝を飾り、『ABCお笑いグランプリ』では2022年と2023年に準優勝、お笑い賞レースで着実に結果を残してきている。2020年に開設したYouTubeチャンネル「official令和ロマン」も大人気だ。

―― くるまさんはYouTubeなどで賞レースの考察をしていますが、6年目というキャリアでは珍しいですよね。

くるま 賞レースを分析する芸人さんはプレイヤーとして経験則で話しているじゃないですか。それをやったら「何年目だよ」と思われるけど、僕は個々のネタじゃなくて「お笑い」自体を分析しているんです。

 いまはこういう要素が入ったネタが流行っているから、次はこういう人が出てくるんじゃないか、という。社会人的な思考なのかもしれません。漫才という商品を売りたいから、市場では何が流行っているのかリサーチしているだけなんです。

――考察について、ケムリさんはどう思ってますか?

ケムリ え?

くるま なんで写楽みたいに身を乗り出しているのに聞いてないんだよ。

ケムリ 考察? 合ってるかもなぁくらいで、何も思わないですね。

くるま ケムリさんは考えない葦だからね。

ケムリ パスカルでいうところの、人間の逆ね。

――考察したうえで、自分たちはこうしようと戦略を立てるんですか?

くるま いちいち考えていたら疲れてしまうので、普段はしないけど、賞レースでは戦略を立てています。