全部が悪循環でした

 これまで『オンバト』でやってきたネタの作り方は『M-1』は通用しない。ではどうしたらいいのか――完全にスランプに陥った。

関「そこからは本当にいろんなパターンのネタをつくりました。しゃべりだけにしてみたり、感情だけで突っ走るネタにしてみたり、毛色が全然変わりましたね。場所によってはウケづらいネタが増えました」

山本「『オンバト』の初期のネタは今でも営業でやってますけど、この頃のネタは一切できないんですよ。なぜならファミリーにはまったく伝わらないから」

「矛盾ですよね。人を笑わそうとしてるのに、こっちが人を選ぶって」と山本はつぶやく。「面白さ」と「わかりやすさ」は本来両立し得るはずのものだが、お笑いの世界においては「玄人受け」と「万人受け」の二項対立と同義のようにとらえられがちだ。現在は少し状況が変わっているように思うが、少なくともこの頃の若手の世界においては前者が圧倒的に優位だった。

山本「この時期はめちゃくちゃしんどかったです。人のネタを見て“こんなパターンもあるんだ”ってやってみるけど、結局自分に合ってない型だからうまくいかないんですよね」

関「迷って違うことをやってみて自分たちに合わなくて、だからウケない。全部が悪循環でした」

■プロフィール
タイムマシーン3号
山本浩司(やまもと・こうじ)1979年6月22日生まれ。新潟県出身。
関太(せき・ふとし)1979年8月5日生まれ。群馬県吾妻郡六合村出身。
東京アナウンス学院の同級生同士で2000年に結成。2003年より『爆笑オンエアバトル』に出演し、常連として成績を残す。『M-1グランプリ』2005年、2015年ファイナリスト。『キングオブコント』2016年ファイナリスト。現在のレギュラー番組は『有吉の壁』(日本テレビ)、『藤田ニコルのあしたはにちようび』(TBSラジオ)、『真誠presents タイムマシーン3号のそろそろ売れてもいいんじゃない?』(CBCラジオ)ほか。