ワンオペでの育児は周りの人たちの助けがあったから
ーー現在の夫である写真家の桑島智輝さんと２０１４年に結婚するまで、完全なワンオペ育児だったかと思います。同じように、仕事も忙しく、お子さまと一緒にいられず、「なんのために働いているんだろう」と葛藤する同じ立場の女性は、多いかと思います。
「私は働く場があるからまだいい方だと自覚していることを前提として、働けば働くほど子どもとの時間は減るし、ベビーシッターさんにかかるお金のことも考えると、結局なんのために働いているのかわからない状態に陥る……という経験はしましたね」
ーーその葛藤と、どうやって折り合いをつけていましたか？
「子どもは、ママがいない寂しさがずっとあったと思います。そんなときに、子どもの面倒を見てくれたり、協力してくれる人たちが周りにいたので、その人たちの助けがあったからこそですね。寂しさもありつつ、周りの人たちと楽しくすごす時間もあり、だんだんとバランスが取れていったように感じます」
そして１７歳になった長女は、「一緒に生き抜いてきた、戦友みたいな感じ」だと話す。
「“私たち、がんばったね”みたいに、お互いのことを褒めたたえあえる関係といいますか」
ーー戦友。２人にしかわからないさまざまな壁を乗り越えてきたんですね。
「そう、“いやあ、波乱万丈だったよね。でもよかったよね”みたいな」
ーー１７歳で波乱万丈。経験値が高そうです。
「そんな経験も、自分の人生のひとつのエピソードとして楽しんでいるというか、ネタにしている部分がありますね。すごく明るくたくましく育ってくれたので、ほっとしています」
「いい母親」はそれぞれの親子関係で千差万別なのだと、２人の関係性が物語っているようだった。
■安達祐実（あだち・ゆみ）
１９８１年９月１４日生まれ、東京都出身。デビューは２歳のとき、子育て雑誌のモデルで。１９９１年にテレビＣＭ「ハウス食品 工房」への出演で知名度が急上昇し、１９９３年に『ＲＥＸ 恐竜物語』で映画デビューし、子役として『家なき子』（９４年、日本テレビ系）や『ガラスの仮面』（９７年、テレビ朝日系）などの代表作で国民的女優に。その後、『大奥』（０３年、フジテレビ系）や『娼婦と淑女』（１０年、フジテレビ系）での演技が話題となり、２０１３年の写真集『私生活』と、翌年年公開映画『花宵道中』でこれまでのイメージを完全に払拭。近年はファッションアイコンとしても再ブレイク中。２人の子どもを持つ母親としての顔も。１０月１３日より出演映画『春画先生』が公開。
