印象に残っている大島優子からの言葉
ーー当時のキャプテンは大島優子さんですよね。
「優子さんには、すごくお世話になりました。“マイクを持っていない左手は、グーにしないで”など細かいところからアドバイスしてくださったり、一人一人を本当によく見てくださるんです。優子さんの卒業時に“優子さんみたいになれるように頑張ります”と話したら、“私みたい、じゃなく、自分らしく頑張ってね”と言われたことが印象に残っています」
ーー AKB48といえば、歌やダンスだけでなく、バラエティ番組やグラビアなど、活動が多岐にわたっていますよね。
「私はバラエティが本当に苦手で、死ぬ気で逃げていたタイプでした(笑)」
ーーそこまで(笑)。
「当時の番組を見ると、本当に存在感ゼロだと思います。一方で、バラエティが得意だったり、歌がうまい子、演技ができる子がいたり、それぞれ得意分野がある中で、“じゃあ、私はどこで活躍できるのかな”と思ったときに、“勉強系がいないから、ここかな”と」
ーー 成城大学経済学部を卒業しているし、その後、大学院も修了していますからね。
「大学在学中に学業との両立が難しくて、『AKB48 ネ申テレビ』(ファミリー劇場)に出演できない時期が続いたんです。そんなときにスタッフさんから、“何か、今、できることをやりませんか?”と提案されて、気象予報士の資格取得に挑戦することを思い立ったんです」
ーー見事、合格したのが2019年。たしか8度目のチャレンジで、ですよね。
「はい、5年もかかりました。やっっっ~と取れたんです」
ーー番組では不合格のシーンもきちんと取り上げて。
「普通に落ちていました」
ーー19歳から挑戦して、遊ぶ暇もなかったのでは?
「ほぼ遊んでないです。合格前の最後の半年なんて、ごはんに誘われると“勉強する時間が減ったら、落ちるかもしれない……”と思って断っていたほど、追い詰められていました」
ーーうわあ、スケジュールは、どんな感じでしたか?
「AKBの仕事も不定期なので、1日勉強しない日もあれば、丸1日やる日もあったり。過去問題は10年分を2回やりました」
ーーしかも、大学は経済学部で、まったく違うことを学んでいるし……。
「そうです。並行して、いろんな勉強をやっていました」
ーー2021年のNHK朝ドラ『おかえりモネ』は、気象予報士を目指す女性がヒロインでしたよね。
「百音ちゃんは3回で受かったんですよ! 優秀! ドラマに出てくる試験会場は女性が多かったんですが、実際は、おじさんがいっぱいいるんです」
ーーおじさんも気象予報士を目指して?
「学び直しや、試験を受けるのが趣味の人もいるんです。10回合格しても受け続けている人もいました。そういう人は、顔見知りもたくさんいらっしゃるみたいで、試験終わりに“いやあ、今回も難しかったですねえ”と、周りの人とおしゃべりしているのを見かけました。これ、〝気象予報士試験あるある〟です」
4月に発売した写真集『とむもよう』(小学館)では、大胆な下着姿などにも挑戦した武藤さん。これからも、持ち前のチャレンジ精神で、どんな活躍をしてくれるのか楽しみだ。
■武藤十夢(むとう・とむ) 1994年11月25日、東京都生まれ。B型。T156。2011年、16歳でAKB48第12期メンバーとしてデビュー。今年3月にAKB48を卒業した。19年に気象予報士、21年にファイナンシャル・プランニング技能士2級の資格を取得。確かなFP技能を持つAFP認定者でもあり、現在、バラエティ番組、映画、CM、ユーチューブ配信など、マルチに活躍している。