昨日まで“いいえ”と返事していたことを、即答で“はい”と言ってみる

 真利子哲也さんは、2018年にドラマ『宮本から君へ』の脚本・演出を手がけ、翌年公開された同作映画版でも監督を務めた映画監督。『宮本』は第62回ブルーリボン賞、第32回日刊スポーツ映画大賞、第34回高崎映画祭で監督賞を受賞するなどの評価を得て、新井さんの作品の認知度を高めるきっかけにもなった。

ーー外に出たとたん、どんどん繋がっていきますね。

新井「50歳になると、“100歳まで生きられないだろう”という確信が持てるようになるわけです。じゃあ、折り返し地点は過ぎた、というわけで。このまま同じことをやっているのもしょうがないし、それまで動けなかったのは、“自分がそこそこ積み上げたものがかっこいいと思っているからだろう”と。それを全部壊したい、という衝動から、変化がはじまった気がしますね」

新井英樹 撮影/冨田望

 あらためて新井さんにとっての「THE CHANGE」を聞くと、「断言するのは苦手だから」と言いながら、こんな答えが返ってきた。

新井「表に出るようになってから一番変わったのは、なにか誘われて“どうしよう”と迷ったときは、まだ動ける余地があるんだと思って、動くことにするようになったことですね。そのときになかなか返事ができないときは、“動かない理由を探しているだけだな”と思うんです。

 昨日まで“いいえ”とか“ちょっと待って”と返事していたことを、即答で“はい”と言ってみる。

 自分に飽きないために、人生に飽きないために、変えちゃったほうが楽しいです。小さな考え方が変わるだけで、昨日まで見ていた風景と、まるで違う風景になるし」

 変わることは、楽しい。そんな、シンプルだが生きる動機としてはこの上ない感情の大切さを、新井さんは身をもって体現していた。

【プロフィール】
■新井英樹(あらい・ひでき)
1963年生まれ、神奈川県出身。明治大学卒業後、文具メーカーに就職、営業マンになるも漫画家を志して1年で退職。1989年に『8月の光』でアフタヌーン四季賞を受賞しデビュー。1993年、自身のサラリーマン時代の経験をヒントに描いた『宮本から君へ』で第38回小学館漫画賞青年一般向け部門を受賞。以降、『愛しのアイリーン』『ザ・ワールド・イズ・マイン』『キーチ!!』シリーズなど、掲載誌で異彩を放つ衝撃作を発表。2018年には『宮本から君へ』がテレビドラマ化され、映画『愛しのアイリーン』が公開。現在、新人女王様ふたりと、彼女たちを取り巻く個性的かつ魅力的なキャラクターによる人間讃歌『SPUNKー スパンク!ー』(KADOKAWA)を『コミックビーム』で連載中。6月12日に単行本1・2巻が刊行された。