さらに来年はもっとすごいことをやろうというのが、ずっと続いている

 来年は45周年。最後に、こんなに長く続いた理由を三宅さんに聞くと、「座長が劇団員にお金を使うことですね」とまず冗談を言ったのち、こんな答えが返ってきた。

三宅「でもやっぱり、お客さんが来てくれることが第一です。今年来てくれたとしても、来年来てくれなかったらそこでもう終わります。だから、毎回お客さんが来たくなるような作品を作り続ける。そうやって作り続けようとしている姿を見て、劇団員も“よし、やるぞ!”と思うわけですよね。

 それで、お客さんの笑い声を肌で感じて、カーテンコールでお客さんの拍手を肌で感じることで、“がんばった甲斐があったな”という醍醐味を感じるわけです。“さらに来年はもっとすごいことをやろう”というのが、ずっと続いている、ということでしょうね」

 予定していた時間がすぎても、三宅さんは言葉を尽くして誠実に向き合ってくれた。そして「ありがとうございました」と頭を下げて取材場所をあとにした。マネージャーが耳打ちする。

「長く続けられた理由を聞かれると、いつもは“座長のお人柄”って答えるんです。今日は違いましたけどね」

 東京の喜劇人は、いつだって粋にわれわれを楽しませてくれる。

■三宅裕司(みやけ・ゆうじ)
1951年5月3日生まれ、東京都出身。1979年、ミュージカル・アクション・コメディーを旗印に劇団「スーパー・エキセントリック・シアター」(SET)を結成。『三宅裕司のヤングパラダイス』(ニッポン放送、1984年~)、『三宅裕司のイカすバンド天国』(TBS系、1989年~)、『THE夜もヒッパレ』(日本テレビ系、1995年~)をはじめ、数々の番組を盛り上げるマルチエンターテイナー。俳優として映画『壬生義士伝』(2003年)で第27回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。2004年に東京の喜劇“軽演劇”を継承すべく伊東四朗一座を旗揚げし、出演と演出を行う。2006年に熱海五郎一座を座長として旗揚げ。SET最新公演『ラスト・アクション・ヒーロー~地方都市に手を出すな~』(第61回本公演)が10月19日~10月29日までサンシャイン劇場で上演。

公演情報
劇団スーパー・エキセントリック・シアター
第61回本公演
「ラスト★アクションヒーロー〜地方都市に手を出すな〜」
10月19日(木)〜29日(日)
池袋・サンシャイン劇場にて上演
https://www.set1979.com/stage/2023/