人は見た目で判断するんだ
ーーたしかに、ネガティブな要素を見出して書きそうですね。
君島「私としては、生活圏内としてのTPOに則っていましたが、他人が見れば、原宿ラフォーレ前をうつむいて歩いているように見えたんでしょう。だからそこで、人は見た目で判断するんだ、ということを叩き込まれたわけです。自分の内面や真実がどうであろうとも。
客観的に誤解をされたくないと思ったら、過剰になる必要はありませんが、“他人から言われないようにしよう”と思うようになりました」
SNSでの誹謗中傷に歯止めが効かず、最悪の事態にまで発展することもある昨今の日本社会。かつて、誹謗中傷の渦中にいた君島さんは、どう感じているのだろうか。
君島「匿名性というものは、自由である分岐点だなと思っていまして。匿名で何を言うのも自由ならば、ブロックするのも自由じゃないですか。ブロックする機能があるから、権利も与えられていて。
やっぱり、いちばん大切にしなければいけないのは、自分のメンタル。だから、そことは戦わない。石つぶてはいろんなところから投げられてくるし、そもそも投げている相手がわからないので、戦いようがない。相手がわからないものとは、戦う必要はないかなって思っています」
ーー渦中で生き抜いた君島さんだからこそ、とても説得力があります。
君島「私も最初はブロックはしていませんでした。鋼の精神になりましたので、別に傷つかないんですけれども。でも、ブロックしないと、私の元に集まってくださる方々、大切な人たちを傷つけることになるんです。それだけはしたくないと思い、迷いなくブロックしています」
鋼の精神を身につけるまで、壮絶な日々を生きなければならなかった。が、大事なことはそんなんじゃない、と、君島さんは、自分以外の誰かに心を寄せるのだった。
君島十和子(きみじま・とわこ)
1966年5月30日生まれ、東京都出身。雑誌の専属モデルや女優として活躍後、君島誉幸さんとの結婚を機に芸能界を引退。マスコミに追われる日々を経て、1998年に『25ans』で結婚後初めて美容の記事が大反響。2001年に、現在クリエイティブディレクターを務める株式会社FTCの前身であるセレクトショップ「フェリーチェ青山」をオープン。美容の世界に舵を切り、多くの美容アイテムをヒットに導く。近年ではバラエティ番組にも出演し、公式YouTube『君島十和子チャンネル』やSNSでも精力的に発信中。2人の娘がおり、長女は元宝塚歌劇団月組娘役の君島憂樹さん。今年4月、9冊目となる著書『アラ還十和子』(講談社)を刊行。