ブレイク前のミスチル桜井に掛けた言葉

――筋肉少女帯は、デビューから数年で武道館ライブを行うほど有名になりましたが、まだ無名だったMr.Childrenの桜井和寿さんが「売れるためにはどうしたらよいですか? 」と大槻さんに聞いたという話は本当ですか?

「それはね、日比谷野外公会堂で一緒にライブやった時に、桜井さんが“大槻さん、こんなたくさんの人の前で歌うの、一生で最初の最後ですよ”って言ったんです。僕は“そんなことないよ”って言ったら、本当にそんなことがないくらい売れたんだけれどね(笑)」

――大槻さんがここまで音楽活動を続けてこられたのは、どうしてだと思いますか?

「僕は、いま57歳なんですけど、なぜこんなに長いことバンドをやっているかというと、先が見えなかったからだと思います。同じような境遇の人がいなかったから、わかんなかったんです。

 ボートみたいなものに乗って、海でこぎ続けてきたけれど、もし未来というものがこの水平線の先にあるのならば、地球は平らだった……みたいな感じ。自分の将来なんて、想像もつかなかっただけなんです」

――では、バンドを長く続けるために、必要なことって何だと思いますか?

「ムッシュかまやつさんが“バンドマンって、キャリアがなにひとつ意味を持たない仕事だよ”っておっしゃっていた。どれだけ売れたことがあろうと、新しく出てきた人には関係がない。

 そんな中で、僕らみたいなバンドが57歳までなんとかやっていけるモデルケースは作れたかなって思います。今の若い人たちが、僕を見て“こうやって生きていけるかもしれないな”ってちょっとでも希望をもって貰えたら嬉しいなって思いますね」

 デビュー以来、第一線で活躍し続ける大槻さんの謙虚すぎる言葉。彼を慕う後輩ミュージシャンたちがたくさんいる理由は、ここにあるのかもしれない。

■大槻ケンヂ(おおつき・ケンヂ)
 1966年2月6日生。東京都出身。82年よりロックバンド・筋肉少女帯の活動を始め、88年にメジャーデビューを果たす。同年、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティに就任。90年〜94年にはバンドで単独武道館公演を行うも、99年に筋肉少女帯の活動が凍結。07年に活動を再開し、最新作にベストアルバム『一瞬!』など。ミュージシャン、作家、エッセイスト、タレントとして幅広い活躍をしている。

■筋肉少女帯ツアー『一瞬!』 ~メジャーデビュー35周年記念
●11/11(土) 愛知 名古屋 CLUB QUATTRO
OPEN 17:15 / START 18:00 All Standing
(SOLD OUT)
●11/15(水) 大阪 なんば Hatch
OPEN 18:00 / START 19:00 全席指定
●11/22(水) 東京 Zepp DiverCity
OPEN 18:00 / START 19:00 全席指定
Support member Pf.三柴理 / Dr.長谷川浩二
Ticket 前売 8,800円(税込/drink別)

■筋肉少女帯 2023ライブファイナル
12/23(土) 東京 恵比寿 LIQUIDROOM
OPEN 17:00 / START 18:00 All Standing
Support member Pf.三柴理 / Dr.長谷川浩二
Ticket 前売 8,800円 (税込/drink別) 一般発売日 11/23