90年代の音楽シーンに颯爽と現れ、ティーンエイジャーを中心に熱狂的なファンの支持を集めた筋肉少女帯。そのフロントメンバーが大槻ケンヂだ。今年メジャーデビュー35周年を迎え、アルバム『一瞬!』の発売、ライブ活動やフェスへの出演など、今なお変わらず精力的な活動を続けている。
 音楽シーンのみならず、エッセイ、小説、DJなど幅広く活動している大槻ケンヂさんの、THE CHANGEを聞いた。【第3回/全5回】

大槻ケンヂ 撮影/川しまゆうこ

人生の原点ともいえる永井豪作品

 大槻ケンヂさんがステージに立つ時のトレードマークともいえる、顔のヒビ割れメイク。この原点ともいえるのが、永井豪の『デビルマン』だ。

 人生で大きな影響を受けた作品についてたずねると、大槻さんは「永井豪先生ですね!」と即答する。

「僕が子どもの頃は、漫画を読んでいるだけで怒られる時代ですからね。“不道徳だ”みたいな。だからこそ永井豪先生の『デビルマン』は衝撃的だった。永井豪先生の作品で見られるのが、“人類が最強の悪”という神と悪魔の立場を逆転した設定。SF大作ではそのような設定を見たことがあったけれど、少年漫画で読んだのは初めてだったので、深く影響を受けました」

――『デビルマン』のどういう部分にひかれたのですか?

「アニメ版と漫画版があるのですが、僕は『少年マガジン』に連載していたほうがすごく好きだった。劇中でハルマゲドンが起きてしまうような、とても少年向けとは思えないような内容だったんです。

 今だと考えられないような暴力描写も含めて、『デビルマン』には多大な影響を受けました。今でも『新世紀エヴァンゲリオン』も『鬼滅の刃』も、“これはルーツは『デビルマン』だ……。だから俺は認める”みたいに思っていますからね(笑)」

 音楽のみならず、映画や小説にも造詣が深いことで知られている大槻さんだが、サブカルチャーへの興味は、意外にも中学に入学してからだという。

「小学生の頃は、クラスのなかでもわりとひょうきんなタイプだった記憶があります。映画少年になったのは中学からなんです。中学生になって、なにか自己表現みたいなものをしたい気持ちが芽生えた。でも勉強はしなかった。このままでは、表現者になる上でいけないと思って、自分なりに勉強しようと思ったことが、学校外のことだったんです」