アングラ映画の魅力にハマっていく
幅広いジャンルの映画に触れたことから、どんどんと映画にハマっていったという。
「“なにか凄いことが起こっているな”って感じた角川映画や、PFF(ぴあフィルムフェスティバル)とか、どんどんニッチな映画を観る方にいきました。当時、新宿に『黙壺子(もっこす)フィルム・アーカイブ』(※80年代に映画評論家の佐藤重臣が主催していた自主上映会)っていう上映会があったんです。
アートシアター新宿という会場だったのですが、貸しスペースにパイプ椅子を置いただけの場所だった。まだ翻訳もされていないような海外のカルト映画を上映していたんです。そこでアングラ作品をいっぱい観ていましたね。もちろんね、ハリウッド大作も公開されてからしばらく経ってから名画座で観ていました」
――特に印象的だった映画を挙げるなら、どの作品になりますか?
「若い頃に観て、印象に残っているのは石井聰亙監督(現:石井岳龍)の『狂い咲きサンダーロード』。あと長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』、洋画だとダスティン・ホフマンが主演している『真夜中のカーボーイ』(ジョン・シュレシンジャー監督)。そのあたりかな。ホラー映画だと『ゾンビ』(ジョージ・A・ロメロ監督)、『悪魔のいけにえ』(トビー・フーパー監督)も好きでしたね」
当時、大槻さんはどうやって映画の情報を手に入れたのだろうか。
「中高生時代の情報源としては、TBSアナウンサーの林美雄さんという方の『パックインミュージック』というラジオ番組が、サブカルチャー情報をガンガン発信してくれていた。その番組がきっかけで『太陽を盗んだ男』を知って、観に行ったんです」
『パックインミュージック』に影響を受けたように、大槻さんが紹介した作品に影響を受けたという作家やミュージシャンもたくさん存在する。改めて、そのことについてどう感じているのかたずねた。
「いや~恐縮です。本当、恐縮ですとしかいえないですね。でも、僕がすすめたものを見てくれたのは嬉しいですが、それは僕の手柄ではなく、作った人の手柄だから。僕は紹介しただけですからね。パーティーで言ったら、DJ的な立ち位置というか。パーティーで好きな曲をかけただけのことですからね」
「どれにしよう」と言いながらおすすめの映画について、楽しげに語ってくれた大槻さん。そのまなざしは、少年のようだった。
大槻ケンヂ(おおつき・ケンヂ)
1966年2月6日生。東京都出身。82年よりロックバンド・筋肉少女帯の活動を始め、88年にメジャーデビューを果たす。同年、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティに就任。90年〜94年にはバンドで単独武道館公演を行うも、99年に筋肉少女帯の活動が凍結。07年に活動を再開し、最新作にベストアルバム『一瞬!』など。ミュージシャン、作家、エッセイスト、タレントとして幅広い活躍をしている。
■筋肉少女帯ツアー『一瞬!』 ~メジャーデビュー35周年記念
●11/15(水) 大阪 なんば Hatch
OPEN 18:00 / START 19:00 全席指定
●11/22(水) 東京 Zepp DiverCity
OPEN 18:00 / START 19:00 全席指定
Support member Pf.三柴理 / Dr.長谷川浩二
Ticket 前売 8,800円(税込/drink別)
■筋肉少女帯 2023ライブファイナル
12/23(土) 東京 恵比寿 LIQUIDROOM
OPEN 17:00 / START 18:00 All Standing
Support member Pf.三柴理 / Dr.長谷川浩二
Ticket 前売 8,800円 (税込/drink別)