国民的ドラマ『相棒』シリーズの初代相棒・亀山薫。日本中から愛されるこの男を演じるのが俳優・寺脇康文だ。画面からは、本人の輝くばかりの人柄がつたわってくるが、映像、舞台でも活躍を続け来年で40年となる役者生活のなかで寺脇さんに訪れた「THE CHANGE」とはーー。【第3回/全5回】

寺脇康文 撮影/川しまゆうこ

 23年目に突入した国民的ドラマ『相棒』(テレビ朝日系・毎週水曜よる9時)。水谷豊さん演じる、常にポーカーフェイスで冷静沈着、あまりにも頭脳明晰であることから周囲から“変人”扱いされ煙たがられている「杉下右京」と、寺脇康文さん演じる猪突猛進な熱血漢「亀山薫」とのバディが、観る者の胸を熱くしているが、寺脇さんは「これだけ長く続いているドラマなのにいつも新鮮なのは、やっぱり豊さんの力ですね」と話す。

「ほんとうにいつもぎりぎりまで“これでいいのか”というのを考えていらっしゃる。“これくらいでいいか”という妥協は、一切ないんです」

ーーたとえばどんな場面で、そういったことがありましたか?

「なんでもそうです。もっといい台詞がないか探したり、よくするために脚本を変えることもあります。動きもそう、“こっちに動いたほうがいいんじゃないの?”とか、ギリギリまで考えているんです」

 寺脇さんはこれまでたびたび、水谷さんの初主演作にしてデビュー作『バンパイヤ』(フジテレビ系)に影響を受けたことを公言し、憧れの人として水谷さんの名前をあげてきた。29歳のときに水谷さんとドラマ『刑事貴族2』(日本テレビ系)で初共演を果たしたときのことを、「ある意味、そのときにもう夢が叶っちゃった」と話す。

「俳優をやっていてそのうち一緒にできたらいいな、と思っていた夢が、まず叶っちゃったんですよ。『刑事貴族』でやっているうちに、水谷さんが僕の芝居を認めてくださって、コンビで動くようになったりして。『相棒』の前哨戦みたいな感じですね」