豊さんのおかげで奇跡的に雨があがる

ーーちょっとやってやろう……!?

寺脇康文 撮影/川しまゆうこ

「空を見ていたら小さい雲の切れ間があって、“ちょっとアレ呼んでみるわ”と、わりと本気で思って、こうやったら(※手を空にかかげる)ぶわーーって晴れてきて。“よし! 今だ!”と撮って、撮り終えたらまた雨が降り始めました」

ーーすごい……!

「あれ、俺、なんか神がかってる? と思ったんですが、豊さんはその何十倍もすごいんですよ」

 同じように、雨のため「今日は中止か」と周囲が諦めかけると、水谷さんが「待って、ちょっとやってみるわ」と言いながら、瞑想のように目を閉じる。すると5分後、奇跡的に雨があがるのだという。

「台風の時期でも、豊さんが行く先々が台風の目に入ったり。この前も台風が来たとき、豊さんが“ちょっとそらしてみるわ”と言ったら、ほんとうにそれたんです。あるときは、夕日が必要なシーンがあったんですけど、出ないってなって。そうしたら豊さんが“夕日ね”って言って呼んだら、夕日になっちゃった」

ーーまわりの俳優さんやスタッフさんにも、そういった力を分けていそうですね。

「『相棒』の撮影って、毎朝みんなでハイタッチとか握手をしてはじまるんですけど、豊さんはそこでなにかをみんなにわけてくれているのかも、と思いますね」

 天気をもCHANGEさせる、水谷さんの神通力。長きに渡り大スターでありつづける理由を、のぞいた気がした。

■寺脇康文(てらわき・やすふみ)
1962年2月25日生まれ、大阪府出身。1984年に三宅裕司主宰の劇団『スーパー・エキセントリック・シアター』へ入団し、1994年に岸谷五朗と共に退団後、演劇ユニット『地球ゴージャス』を結成。1996年4月から『王様のブランチ』(TBS系)の初代総合司会を10年間務める。2000年から2008年まで『相棒』(テレビ朝日系)で警視庁特命係の刑事・亀山薫役を務め、その演技が評価され主演・水谷豊と共に第16回橋田賞俳優部門を受賞。2022年10月12日放送の『相棒season21』で14年ぶりに「5代目」相棒として復帰。