豊さんは神様に近いんですよ

ーー当時水谷さんから、どんな言葉をかけられたんですか?

「“芝居の間がいいよね。持っている雰囲気が、自分に合う”と。僕自身も、こうすればこうくる、という感じだから、もう噛み合っちゃって気持ちいいんですよ。豊さんが“これ、こうやってできる?”と言われれば、“はい”ってやったりとか」

 たとえば、10月25日に放送された『相棒 season22』でのワンシーン。とある人物の靴のサイズについて言及する場面でのこと。

「前に見た靴のサイズと2cmも違うというシーンで、薫ちゃんが“メーカーによって違うこともありますよ”と言うと、右京さんが“2cmもですか?”と問いかけるんです。台詞はそこまでなんですが、豊さんが“このあと、なんとも言えない笑い、できる?”って。それで“はい!”と、やってみたり」

ーーそれだけでわかりあえる。

「豊さんの期待に応えたい思いもあるんですよね。それでやったあとに“OKOK!”と言われるのがうれしいんです。役者の中で、ゲストの方ふくめていろいろと芝居を作っていくのが、豊さんなんです」

 言葉の端々から、水谷さんへの尊敬の念があふれ出る……と思いきや、それどころではなかった。

「豊さんは神様に近いんですよ」

ーー神様!?

「そう。神様に近い。たとえば、天気を操るんです。僕もどちらかという晴れ男で、たとえば『853〜刑事・加茂伸之介』(テレビ朝日系)というドラマを京都で撮っていたとき、タイトルバックが信楽高原鐵道の線路を歩くシーンなんです。電車が動いていないその日しか撮影ができなくて、でも現地に行くと雨が降っていた。みんな“今日はダメか”と諦めかけていたとき、ちょっとやってやろうと思って」