国民的ドラマ『相棒』シリーズの初代相棒・亀山薫。日本中から愛されるこの男を演じるのが俳優・寺脇康文だ。画面からは、本人の輝くばかりの人柄がつたわってくるが、映像、舞台でも活躍を続け来年で40年となる役者生活のなかで寺脇さんに訪れた「THE CHANGE」とはーー。【第5回/全5回】

寺脇康文 撮影/川しまゆうこ

 来年で40年目に突入する寺脇康文さんの役者生活。濃厚な日々のなかでの「THE CHANGE」を聞くと、「もちろん、いくつもあります。水谷豊さんに出会ったこと、三宅裕司さんに出会ったこと、『相棒』に出会ったこと……いろいろあるんですけど」と前置きした上で、18歳当時の記憶をたぐりよせる。

「18歳、大学受験に失敗して、高校を出て予備校に通いながら初めてやったバイトの、バイト代が初めて出た日、封筒の中身を覗いたとき。それが僕の『THE CHANGE』なんですよ」

 封筒の中身は、初めて自分の力で稼いだ、1か月分のバイト代、約8万円。

「これからは、こうやってなにかしらでお金を稼いでいかなきゃいけない」

 その瞬間、18歳の寺脇さんの頭をよぎったのは、「役者」の二文字だった。

「あ、役者だ、と自然と思って。そこで急に、スパッと、予備校も辞めようと思ったんです」

ーーそれまで役者志望でもなかったのに急に、ですか?

「もちろんドラマは好きでいろいろ観ていたし、豊さんが出ている作品とか。でも、自分が“なろう”とは思っていなくて、急に、でも自然に、思ったんです。だから大学に落ちてよかったな。受験が上手くいっていたら、たぶん役者はやっていないと思うから」

 そして上京した1984年、三宅裕司さん主宰の劇団『スーパー・エキセントリック・シアター』に入団する。三宅さんの名前を出すと、寺脇さんは「どうもっ、三宅ですっ」と、三宅さん独特のハスキーボイスとなってコメントしてくれた。