サッカー界を代表する選手のひとりだった鈴木啓太さん。浦和レッズのMFとして活躍し、オシム監督率いる日本代表では全試合に出場。2015年に引退後は、研究開発型のベンチャー企業の経営者に転身。多数のテレビ番組やイベント、YouTubeにも出演する。多方面で活躍する鈴木さんの「THE CHANGE」を深堀りした。【第3回/全5回】
アスリートにとって、引退は避けられない。浦和レッズのキャプテンを務め、日本代表にまでなったスター選手は引退の時、家族と話し合ったことを語った。
「2011年、引退をはじめて考えた時に妻に相談した際は、完全燃焼できていないから実は辞めないだろう、と感じていたのかもしれません。15年には、このやりとりだけです。“辞めようと思う”に、“本当に辞めていいの?” “うん、辞めるよ” “お疲れ様でした”。妻はこれ以上聞かないし、僕も言わなかった。本気で辞めようとしている、と察していたんでしょうね。
引退から8年が経ちますが、あのやりとりについて2人で話し合ったことはないです。彼女の真意は、どうだったのでしょうかね。もしかすると、辞めてほしくないと思っていたのかな。普段から、僕の決断に何も言わないんです。こちらも妻が決めたことは尊重するし、支援をする。お互いが認め合い、支え合い、精神的に自立している気がします。
僕たち夫婦は死生観が似ているから、何かを決断する時にも、ある程度理解し合えるように思います。妻と時々話し合います。“いつかは、我々はいなくなる。だから、今、幸福であることに感謝しながらやりたいことをやろうね”。僕も言います。“人は、いつかは死ぬ。明日いなくなるかもしれない。だったら、自分たちの好きなことをしない?”」