サッカー界を代表する選手のひとりだった鈴木啓太さん。浦和レッズのMFとして活躍し、オシム監督率いる日本代表では全試合に出場。2015年に引退後は、研究開発型のベンチャー企業の経営者に転身。多数のテレビ番組やイベント、YouTubeにも出演する。多方面で活躍する鈴木さんの「THE CHANGE」を深堀りした。【第4回/全5回】

鈴木啓太 撮影/冨田望

ーーYouTubeでご自身のチャンネルを開設し、大ヒットしていますね。現在までに295本以上をアップロードし、登録者数は25万1000人(2023年11月18日現在)。視聴者再生回数は数十万から100万前後が多く、中村俊輔さんがゲストの時は250万を超えています。                                                                              

「お陰様で再生回数が、100万回を超えるものが増えています。時折、街の中でも声をかけられるんです。『YouTubeを見ています』って。スタートした2020年11月の時、僕たち制作スタッフがイメージしていたものとはやや違う部分もあるんです。例えば、対談。これが、予想外の大人気になりました。

 僕がホストで、ゲストが現役や引退した元選手。僕が聞き役に徹し、ゲストの持ち味を引き出すようにしています。やりとりのほとんどは、アドリブ。収録前に打ち合わせをするのは数分。必要以上に段取りは決めません。

 例えば、僕がある試合を投げかける。ゲストが“あの時はこんな考えや思いでプレーをしていたんだ”と振り返る。そして、“こういう選択をしたから、こうなったんだ”などと分析する。その内容に関心を持ったり、共感してくれたりする方が多いのではないでしょうか。“あの監督はゲストにとっては、実際のところはどうだったんだろう”と答えるのが難しいかもしれないことも、あえて尋ねます。僕自身もそれぞれのゲストに新鮮なドラマがあり、こんなことを考えていたんだ、と驚くことがあります」

ーー岡野雅行さんとのやりとりは、笑えますね。

「あの話は、現役の頃からもう20回くらいは聞いています。あらためて聞くと、めちゃめちゃおもしろいドラマ。どう考えても、普通じゃない。あんなにおもしろい人はいない。多くの選手がそれ以前にできなかったことに挑み、あのゴールを決めたんですから。ご覧になっている方は、“こういう人が、(1997年に)日本代表のワールドカップへの道を切り拓いたんだ”と感じるのかもしれませんね。やはり、《普通じゃない人》です。中村俊輔さんが出演依頼に快諾してくれた時には感謝しつつも、本当に驚いたんです」