サッカー界を代表する選手のひとりだった鈴木啓太さん。浦和レッズのMFとして活躍し、オシム監督率いる日本代表では全試合に出場。2015年に引退後は、研究開発型のベンチャー企業の経営者に転身。多数のテレビ番組やイベント、YouTubeにも出演する。多方面で活躍する鈴木さんの「THE CHANGE」を深堀りした。【第5回/全5回】

鈴木啓太 撮影/冨田望

 ここまでの4回の話では自らを次々と変えて、さらなるステージに向かう強い意志を感じる。多くの人は、そのようなチェンジがなかなかできない。なぜ、変わることができるのかを伺った。

「変わることは、誰もが怖い。僕も怖いです。今の場所が居心地がいいから、変わりたくないと思うんでしょうね。コンフォートゾーンにいれば、安心だから。だけど、さらに成長しようとするならば変わらなければいけない時もあります。成長には、必ず痛みがつきまといます。できないことをできるようにしようとするんですから、上手くいかない場合もあるはず。その痛みを、ピンチをチャンスにしようとすることが必要。実はこれは、とても難しい。状況によって違いますから・・・。

 社員には、一段と飛躍するためにも挑戦をどんどんと促しています。ただ、これも難しい。僕の思いがどこまで伝わっているのか、わからない。現役の頃から、周りが活躍しているのを見るのが好きだった。会社を経営するようになっても、その思いは変わりません。社員たちが活躍するのを見ていたい。

 娘たちにも「やりたいことがあるならば、試してみてもいいんじゃない?」と言っています。誰もが失敗をするために挑戦するわけじゃない。成功したいと思い、挑みますよね。そこは、親としても心得ておきたいんです。上手くいかない時があったとしても、「仕方がないね。これだけ、がんばったんだから。次回できるためには、どうすればいい?」と投げかけています」