2005年放送のNHK連続テレビ小説『風のハルカ』で2005人の中からヒロインに抜擢された村川絵梨。以来、さまざまなドラマや映画、舞台で存在感を発揮してきた。2023年には“振り切った”役で話題になった村川さんの道程にあったTHE CHANGEとは。【第2回/全5回】

村川絵梨 撮影/三浦龍司

 女優として、さまざまな作品でその痕跡を残してきた村川絵梨さん。だが、「自分が役者になるなんて、思ってもいなかった」と意外な過去を振り返る。

ーースタートは、「女優になりたい」ではなかったんですね。

「はい、歌手としてがんばりたいと思って大阪から上京したし、そこまでお芝居に興味がありませんでした」

 小学校高学年で歌手になることを志しボーカル&ダンススクールに通い、ユニットの一員となったことが、芸能界入りのきっかけだった。その頃もドラマ出演していたもののその出演は「歌手活動のかたわらでグループをよりよくするために出ていた、という意識だった」という。

 それが、明確に変化した瞬間があった。

「役者として“がんばりたい”と思った道ができたのは、朝ドラがきっかけでした」

 2005名の応募者の中から、2005年放送のNHK連続テレビ小説『風のハルカ』のヒロインに選ばれたのだ。ただし、オーディション中はまだ「こんなこと言うのもアレなんですが……当時は欲がゼロだったんです」と、遠慮がちに話す。

「“朝ドラに受かりたい!”という気持ちは1ミリもなく、事務所の人が勝手に応募しました(笑)」

ーーそういうものなんですか!?

「そういうものでしたね。朝ドラもあまり見たこともなくて、偉大さもわからない状態で。“私は歌手だし、よくわからない”と、多感な時期特有のつっぱったような気持ちもあって。でも、あれよあれよと最終審査まで残ったんです」